武力攻撃からの住民避難を想定 県が去年に続き図上訓練

いわゆる「台湾有事」などを念頭に沖縄県は30日台湾に近い先島諸島の自治体や国などと武力攻撃からの住民避難を想定した図上訓練を行いました。

この訓練は去年に続き2回目で、会場の沖縄県庁には県と、与那国町や石垣市などの先島諸島の自治体、内閣官房や航空会社の担当者などオンラインを含めると45機関、およそ200人が集まりました。

まず、沖縄県の玉城知事が「国際情勢の厳しさが増し複雑化していく中、引き続き政府に対しては平和的な外交対話による緊張緩和と信頼醸成の取り組みを求めているが、万が一に備えて国民保護に関する対処能力の向上を図ることは重要だ」と述べました。

訓練は日本周辺の情勢が悪化し、政府が先島諸島の市町村を今後「県外避難」が必要な地域に指定する可能性があるという想定で行われました。

政府はおよそ12万人と見込まれる先島諸島の住民や観光客を6日程度で九州に避難させることを想定していて、訓練では島々を発着する旅客機を増便し船舶の定員を増やすことで輸送力を確保できる見通しであることを確認しました。

また、先島諸島の自治体の担当者から空港までの移動方法や、前回の訓練で課題となった要介護者や入院中の患者など配慮が必要な人たちの避難計画などについて報告されました。

訓練を講評した国士舘大学の中林啓修准教授は「避難計画をより深めていくことと共に住民が動きやすい計画にしていくという検討も必要になると思う」と話していました。

また、県の担当者は「今回は、人員輸送の最大化、要配慮者への対応を検討し去年に比べれば内容が濃いものになったが避難先の空港の受け入れ態勢や飛行機を増便する中で空港での保安検査態勢の強化をどうするか、要配慮者の数が宮古島市と石垣市ではまだ把握できていないなどの課題が明らかになった」と話していました。