池袋暴走事故の遺族がSNSのひぼう中傷への対策訴える 那覇

犯罪や事故に巻き込まれた被害者とその家族の支援を考えるシンポジウムが那覇市で開かれ、5年前の東京・池袋の暴走事故の遺族が、インターネット上でのひぼう中傷への対策や経済的支援が大切だと訴えました。

このシンポジウムは、犯罪被害者の支援を行う弁護士などで作る団体が26日、那覇市で開き、オンラインを含めておよそ350人が参加しました。

はじめに、5年前に東京・池袋で高齢ドライバーが運転する車が暴走した事故で、妻の松永真菜さん(31)と娘の莉子ちゃん(3)を亡くした松永拓也さん(37)が講演しました。

松永さんは、一緒に過ごしていくはずだった妻と娘との時間を同時に奪われたと事故を振り返った上で、民事裁判が終わった後にSNSによる二次被害に苦しんだ経験を話しました。

受け取ったコメントの中には「宝くじが当たってよかった」とか、「うらやましい」といった内容もあったということです。

松永さんは「妻と娘の命を無駄にしたくないという思いで、被害者家族の現実を知ってもらうためにSNSは欠かせないので続けていたが、SNS上での被害が多く起きている」と訴えていました。

講演には、真菜さんの父親で浦添市に住む上原義教さん(66)も参加し、事故の影響で仕事を辞めたことや、裁判に出席するために東京と沖縄を行き来するなど経済的な負担が増え、マンションを売って生活費を工面したことなどを話しました。

上原さんは「何も悪いことをしていないのに、家族も苦しめられて今でも解放されることはない。多くの人が事故で亡くなっているので、被害に巻き込まれた人たちを助けることが広がっていけばと思う」と訴えていました。

シンポジウムを聞きに来た50代の男性は「SNSでのひぼう中傷の深刻さや経済的な支援の仕組み作りの重要性を感じました」と話していました。