台風による停電受け国や県 市町村などが「無電柱化」の会議

ことしの夏に台風によって広いエリアで停電が続いた問題を受けて、電柱をなくして電線を地中に埋める「無電柱化」を県内で進めようと、20日、国や県、すべての市町村、それに沖縄電力などによる会議が開かれました。

「無電柱化」を進めようと、20日、那覇市で開かれた会議には県や国土交通省、沖縄電力、それに県内すべての市町村の代表などが出席し、ことし夏、台風6号の影響で一時、県内の全世帯の3分の1が停電する事態となったことなどが報告されました。

そして、沖縄本島各地で無電柱化が進められているものの、離島地域では宮古島市など1割の自治体にとどまっていて、ほとんどの島で無電柱化が進んでいない現状が報告されました。

このため、国の担当者は、無電柱化を進める上で国から高い割合で補助を受けるため、各自治体で無電柱化が必要な場所を調査し計画にまとめるよう呼びかけました。

渡嘉敷村の新里武広村長は、「村では台風6号で166時間の停電があり、電気が安定供給できるように政策を考えていかないといけない。財政的な問題が大きな課題なので解決していきたい」と述べました。


電柱をなくして電線などを地中に埋める「無電柱化」は、沖縄でも、防災対策や景観を維持することなどを目的におよそ30年前から始まっています。

例えば、那覇市の国際通りは、景観面や歩道に多くの人が行き交うことを踏まえ、無電柱化されています。

また、災害時の緊急輸送に使われる国道330号線の宜野湾市我如古交差点付近は、かつては道路沿いに多くの電柱が建ち並び、道路の上にいくつもの電線が張られていましたが、いまは無電柱化されています。

沖縄総合事務局道路管理課の渡久山雄一課長は、「無電柱化すると、台風の時に電柱が倒れる心配がなく、それに景観も良くなる。さらに歩行しやすくなるし、停電対策にもつながります」と話していました。

ただ、県内で無電柱化されたのはいま計画されているうちのおよそ3割、道路全体の2%程度にとどまっています。

一方で、ことしの夏沖縄地方を襲った台風6号で、電線が切断されるなど被害が出たのは、およそ2500か所にわたり、県内の全世帯の3分の1にあたるおよそ21万5800戸が停電する事態となりました。

また、台風6号では離島地域への対策の必要性も改めて指摘されています。

慶良間諸島では、沖縄本島から海底ケーブルで電気を送っていますが、台風の影響で渡嘉敷島で樹木の接触と設備被害が発生し、それによって座間味島や阿嘉島も停電が起きる事態となったのです。

渡久山課長は、「県内の無電柱化は、少しずつ広がってはいるが、諸外国と比べたら少ない。予算的に難しいだけでなく、歩道の下に水道管などもあり工事の調整などに非常に時間がかかるので、優先する場所を決めて少しずつ進めていきたい」と話していました。