米軍担当者 辺野古移設“完成は早くても2037年”

沖縄に駐留するアメリカ軍による報道機関向けの説明会が7日、普天間基地などで開かれ、アメリカ軍の幹部が普天間基地の名護市辺野古沖への移設工事について「完成するのは早くても2037年になると予想されている」などと述べました。
アメリカの海兵隊と陸軍、海軍、それに空軍のあわせて4つの軍は、報道機関向けに軍事活動に関する説明会を7日から3日間の日程で開いています。
このなかで、アメリカ軍の幹部は7日、普天間基地の名護市辺野古沖への移設工事について「アメリカ軍の再編計画の専門家によると早くても2037年になると予想されている。台風や自然災害の影響は想定していない」と述べました。
このあと、報道陣から「政治的な意図は排除して純粋な軍事的な意味合いとしてこの位置に基地があった方がベターと考えているのか」と尋ねられたのに対し、「軍事だけで考えると普天間基地の方がいいと思う」と答えました。
さらに移設先の滑走路が普天間基地よりも短くなることによる運用上の制約について問われると幹部は「滑走路が短いという点はいくつかネガティブなポイントではあります。その際は嘉手納基地と補い合ってやっていくかと思う」と回答しました。
一方、移設先について「軟弱地盤があり建設が難しいという指摘もある。その存在は軍事的に影響を与えるのか」という質問を受けると、幹部は「もしそれが修正できないのであれば、影響を与えるかもしれない。沈むような場所にはしておかないと思っているがもし建設できないのであれば指摘のようになるかと思う」と答えました。
そして「辺野古沖への移設工事が完成したあとも普天間基地を持てるなら、本音としては持ち続けたいのか」などと尋ねられると、幹部は「純粋な軍事的な立場だけ言えば『はい』と答えるが、その決定は私ができるものではない」と述べました。

【そもそも返還見通しはいつだった?】
普天間基地は、1996年に返還が合意された際には、「米軍基地の中に新たにヘリポートを建設するなどの措置が取られた後、5年ないし7年ぐらいに、全面返還されることになる」と橋本総理大臣が発表しました。

その後、代替施設の計画をめぐって紆余曲折があり、2013年に日米両政府がまとめた名護市辺野古への移設計画では、埋め立てなどの工期は5年で、早ければ2022年度に返還が可能になるとされました。

しかし防衛省は大幅な地盤改良が必要になったため設計の見直しを進め、2019年に地盤改良や埋め立てなどにおよそ9年半かかり、飛行場としての機能を持たせる整備も含めると完成までおよそ12年かかるとする工期の概略を示しました。これによって、普天間基地の返還時期は2030年代に大幅にずれ込む見通しとなり、経費も当初見積もりの2.5倍以上となる、およそ9300億円に上るとされました。

【松野官房長官は】
松野官房長官は、午前の記者会見で「アメリカ軍関係者による発言の逐一にコメントすることは差し控える」としたうえで、「普天間基地の代替施設建設にかかる地盤改良については、沖縄防衛局で有識者の助言を得つつ十分な検討が行われており、問題なく建設可能だと承知している」と述べました。

そして、「こうした内容はアメリカ側にも説明を行い、確認してきており、見解の相違はないと承知している。政府としては引き続き、普天間基地の1日も早い全面返還を実現し、基地負担の軽減を図るため全力で取り組んでいく考えだ」と述べました。