地価調査 全地点のデータをNHK分析 新たな傾向見えてくる

沖縄県の上昇率が全国で最も高くなったことしの「地価調査」について、20日発表されたすべての地点のデータをNHKが分析したところ、新たな傾向が見えてきました。

NHKは、県内に284あるすべての地点の情報を地図データ化し、ことしだけでなく、前の年にもさかのぼって、変動率を比較しました。

まず、沖縄本島では、中部や南部でことし上昇する地点が増えたほか、北部でも上昇する地点が出てきています。

専門家は、那覇で高値感が出てきて周辺の地価が上がってきたとする一方、理由はそれだけではないと指摘します。

そのことが分かるのが、恩納村真栄田です。

住宅地の上昇率は28.9%で県内で最も高く、全国でも5番目になっています。

その要因について、不動産鑑定士の仲本徹さんは、「幹線道路沿いにダイビングショップ、読谷に向けて行くとカフェや宿泊施設が建ち並んでいて、けっこういい雰囲気を醸し出している沿線だ。そういうところもあって、移住者、移住目的の取り引き、あるいは別荘需要が強まっている」と説明しています。

また、去年とことしの変動率を比較したことで見えてきたもうひとつの特徴は離島です。

宮古島では、外資系ホテルの進出などで上昇が続いていて、ことしは住宅地の上昇率で県内上位の多くを占めたほか、石垣島や西表島でも上昇しています。

そして、大きな動きがあったのが、慶良間諸島です。

去年とことしの変動率を地図データ化して比較すると、渡嘉敷島と座間味島、阿嘉島の4地点が変動なしから上昇へ転じていることが分かります。

仲本さんによると、もともと地縁性の強い取り引きが中心だったところに、コロナの行動制限がなくなって観光客が増え、島外者による取り引きも見られるようになっているということです。

そうした島外や県外の個人や法人は資金力もあるので、高めの取り引きも散見されるようになっていると説明しています。

コロナ禍を経て、上昇を続ける沖縄の地価の今後の見通しについて、仲本さんは、「上昇基調は続くのではないか」と話します。

ただ、その一方で、「ご存じのとおり物価は高い傾向が続いており、物価上昇や金利の上昇基調といった不安の中で、住宅購入者といった消費者や投資家のマインドに影響するのではないか危惧されるところだ」と話していました。