辺野古改良工事 工事着手に向け入札手続き開始 沖縄防衛局

沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設先となっている名護市辺野古での軟弱地盤の改良工事をめぐり、県の敗訴が確定した最高裁判所の判決を受けて沖縄防衛局は8日、工事の着手に向けた入札の手続きを始めました。

普天間基地の移設先となっている名護市辺野古での軟弱地盤の改良工事をめぐり、工事を承認しない沖縄県に対する国の「是正の指示」が違法かどうか争われた裁判で、最高裁判所は今月4日、県の上告を退ける判決を言い渡し、沖縄県の敗訴が確定しました。

これにより沖縄県は、国の指示に従って工事を承認する義務を負うことになり、県の対応が注目されています。

こうした中、沖縄防衛局が軟弱地盤が見つかったアメリカ軍キャンプシュワブの北側、大浦湾側の埋め立て工事の着手に向け、8日、業者を選ぶ入札の手続きを始めました。

沖縄防衛局がホームページで公表している入札に関する資料によりますと、手続きが始まったのは埋め立て予定地の外周となる護岸の建設工事合わせて4件で、このうち3件は軟弱地盤の改良工事も含まれるということです。

防衛省によりますと、地盤の改良工事にはおよそ7万1000本のくいを海中などに打ち込む必要があり、設計変更後の計画に基づく工事が完了し、施設を提供するまでおよそ12年かかるということです。

一方、沖縄県はこれまで大浦湾側の埋め立てについて「前例のない大規模、かつ高度な地盤改良工事で設計の安全性が十分ではない」などと指摘しています。

移設に反対するグループ、「命を守る会」の代表を務めていた西川征夫さん(79)は、工事の着手に向けた手続きが始まったことについて「移設できるのか疑問で、地元にとって利益になる物ができるとは期待できず、それが出来たあとのリスクは大きく、私たちの子や孫が引き受けていく形になる」と述べました。

「命を守る会」は8年前に解散していて、西川さんは「政府がやろうとしていることを阻止することはできないと思うが、『県民投票で多数が反対し、軟弱地盤もあるのに工事を進めて本当にいいのか』と声を上げ続ける必要があると思う」と話していました。

一方、西川さんが暮らす辺野古区は13年前、▽世帯別の金銭的な補償や▽環境の整備などを条件に移設計画の容認を決議をしました。

防衛省関係者などによりますと、現在も国と辺野古区、名護市の三者で振興策などについて話し合いを続けているということです。