台湾に学び“やんばるコーヒー”磨く

ここ20年ほどで急成長し、世界的に高い評価を得ている台湾コーヒーの生産者が今月6日、那覇市内でイベントを開きました。会場には学びを得ようと駆けつけた沖縄の生産者の姿もありました。

(NHK沖縄放送局記者 高田和加子記者)

【沖縄のコーヒー生産者は】
名護市の市街地から車で20分。山あいでコーヒーを栽培する生産者を訪ねました。宮城禎明さん(47)はやんばるの自然の中で育てるコーヒーにこだわって生産を続けています。東京からUターンし、栽培を始めて7年目。豆の品質は徐々に上がり、手応えを感じる一方で悩みも尽きません。8月の台風6号では根が傷んでしまい切るしかなくなった木もあります。11月の収穫時期を前に毎年のようにやってくる台風。さらに日照時間や雨量などによって実が熟すタイミングが変化するコーヒー特有の難しさもあり、どう品質をあげるか試行錯誤の毎日です。ヒントになると目を付けたのが「台湾」でした。

(宮城禎明さん)。
「いいチェリー(実)にするためにどういったところに注意しているか、それこそ台湾の先輩たちに聞けたらうれしい」

【評価高まる台湾コーヒー】
なぜ、台湾なのか。近年、台湾のコーヒーは世界的な評価を急上昇させているのです。行政と農家が一丸となって生産を拡大しています。その台湾コーヒーを出す店が那覇市内にもありました。店主の山田哲史さんです。10年ほど前から台湾の産地に足繁く通い、目利きしたコーヒーをこだわりのばい煎で提供しています。

(山田哲史さん)
「香り立ちがいい。風味がとても透明感があってきれい。雑味がなくてすごくすっきりして余韻が長い」

山田さんが豆を取り寄せている台湾の阿里山は台湾有数のコーヒー産地ですがもともとはウーロン茶などの栽培で知られていました。コーヒーで急成長した秘密がここにあると山田さんは話します。

(山田哲史さん)
「実をとってから乾かすときの工程、発酵工程とかウーロン茶にすごく似ている。そのウーロン茶の技術を台湾の人たちは熟知しているのでそれをコーヒーに生かしている印象がありますね。ウーロン茶の下地はすごく大きいんじゃないかな」

【台湾の生産者に学ぶ】
そして、その阿里山などから9つの農園の生産者が那覇市にやってきました。有望な市場である沖縄に自慢のコーヒーをPRするためです。沖縄のコーヒー関係者にとっても生産者から直接話を聞けるまたとないチャンスです。会場には名護市の生産者、宮城さんの姿もありました。生産者を見つけては、次々と質問を重ねていました。

(宮城禎明さん)
「台風が来ていましたが畑は大丈夫でしたか?」

(台湾の生産者)
「コーヒーの木は3本の支柱で支えて縛って事前に台風に備えています。いつでも備えておく必要がありますね」

宮城さんは次は現地を訪ね、もっといろいろ吸収したいと顔つなぎにも余念がありません。

(宮城禎明さん)
「ぜひ、おうかがいしたい」

(台湾の生産者)
「そのときは阿里山で大歓迎します」

(宮城禎明さん)
「すごく皆さんフレンドリーで意外と突っ込んだことを聞いてもちゃんと答えてくれて(台湾が)すぐそばにあるなんて、なんてラッキー。しかもおいでと行ってくれているんで行かせて下さいと」

台湾に学んで世界を目指したい。沖縄のコーヒーの
未来につながる交流はさらに深まりそうです。