辺野古の地盤改良工事めぐる裁判 県の敗訴 確定する見通し

沖縄県のアメリカ軍普天間基地の移設先となっている名護市辺野古での軟弱地盤の改良工事をめぐり、工事を承認しない県に対して国が行った「是正の指示」が違法かどうかが争われた裁判で、最高裁判所は来月に判決を言い渡すことを決めました。
高等裁判所の判断を変更するために必要な弁論を開かないため、県の敗訴が確定する見通しで、県は国の指示に従い工事を承認する義務を負うことになります。

普天間基地の移設のため、国は5年前に名護市辺野古沖で土砂の投入を始めましたが、区域全体の7割ほどを占める埋め立て予定地の北側では軟弱地盤が見つかり、国が地盤の改良工事を進めるため設計の変更を求めましたが、県が「不承認」としたため工事が進んでいません。

国土交通省は去年、地方自治法に基づき県に承認を求める「是正の指示」を行いました。

これについて、県は取り消しを求める訴えを起こしましたが、ことし3月の福岡高等裁判所那覇支部の判決では、国の関与は適法だとして退けられ、県が上告していました。

この裁判で、最高裁判所第1小法廷の岡正晶裁判長は、来月4日に判決を言い渡すことを決めました。

高等裁判所の判断を変更するために必要な弁論を開かないため、県の敗訴が確定する見通しとなりました。

確定すれば、移設に反対してきた県は国の指示に従い、工事を承認する義務を負うことになります。

一方、国は、県が指示に従わない場合、代わりに承認する「代執行」に向けた手続きができるようになります。

辺野古への移設計画をめぐっては国と県が激しく対立し、これまで13件の訴訟が起こされていますが、移設計画の大きな焦点となっていた軟弱地盤の改良工事について最高裁が判断を示すのは初めてで、ほかの訴訟や工事の計画にも影響を与える可能性があります。

県の敗訴が確定する見通しになったことについて、沖縄県の玉城知事は、北谷町で記者団に対し「まだ、そういう連絡は受け取っていない。ただ、いつ判決が出るのかという期日をいただいたので、今、弁護士の方とその調整をしている」と述べました。

また、県は設計変更の「不承認」を取り消す国の「裁決」についても取り消しを求めていましたが、これについて最高裁判所第1小法廷は上告を退ける決定を出し、県の敗訴が確定しました。