サンゴ移植めぐる国の指示 沖縄県が高裁に取り消し求める訴え

アメリカ軍普天間基地の移設工事で、軟弱地盤が見つかった海域にあるサンゴの移植をめぐり、農林水産大臣が沖縄県に出した指示は違法な国の関与だとして、県は17日、高等裁判所に取り消しを求める訴えを起こしました。

アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設工事をめぐって、沖縄防衛局は埋め立て予定海域のうち軟弱地盤が見つかった大浦湾側に生息するサンゴおよそ8万4000群体の移植作業を行う許可を県に申請しました。

一方、県は「法的地位を取得しておらず、工事を実施することが不可能な状況での申請は必要性が認められない」などとして申請を認めませんでした。

これに対し、水産資源の保護を所管する農林水産大臣は県に申請を許可するよう「是正の指示」を出したことから、県は指示が違法な国の関与だとして国と地方の争いを調停する「国地方係争処理委員会」に指示の取り消しを申し出ましたが、委員会は先月、県の訴えを採用しないことを決めました。

この決定を不服として、県は17日、農林水産大臣に対して指示の取り消しを求める訴えを福岡高等裁判所那覇支部に起こしました。

玉城知事は「国地方係争処理委員会の判断は必要性を具体的に考慮することなく農林水産大臣の裁決を追認するなど極めて問題があり、到底容認できない」とするコメントを発表しました。

移設計画をめぐって国と県が起こした裁判はこれで13件目で、係争中の裁判は4件となります。