沖縄戦を知るガジュマルの大木が倒れる 遺族「再生を願う」

台風6号の影響で沖縄戦を物語るガジュマルが倒れました。
沖縄本島北部の西にある沖縄戦の激戦地、伊江島にあるこのガジュマルには日本兵2人が戦争が終わったことを知らずに2年間、身を隠していました。
このうちの1人、沖縄出身の兵士の次男は「父が救われた私にとっても命の恩人のような木で、再生できることを願っている」と話していました。

台風6号の影響で倒れたのは、高さ15メートルあまり、樹齢250年ほどとみられているガジュマルの大木で伊江島では「ニーバンガズィマール」と呼ばれています。

今月3日、この木を管理する宮城孝雄さんが発見しました。

78年前、島内で激しい戦闘が行われる中、沖縄出身の若い兵士と本土出身の上官がこの木に身を隠し戦争が終わったことを知らずに2年間、過ごしました。

戦後は平和学習の場として多くの観光客や修学旅行生が訪れてきたほか、この話に基づき、劇作家の井上ひさしさんが生前、原案を書いた「木の上の軍隊」という舞台も作られました。

9日は、木の上に逃れた沖縄出身の兵士、佐次田秀順さんの次男でうるま市に住む満さんが現場を訪れていて、「父がこのガジュマルに救われ、私の存在もある。命の恩人のような木で、再生できることを願っている」と話していました。

木を管理する宮城さんは「ショックでしたが戦後100年に向けて復元できるよう願っています」と話していました。

伊江村は宮城さんと連携しながらガジュマルの復元に向けて取り組むとしています。

78年前、伊江島では住民を巻き込んだ激しい地上戦の末、日本側は当時島にいた住民のほぼ半数にあたる1500人が命を落とし兵士2000人が死亡しました。