沖縄電力 火力発電所で揚炭機倒壊 電力供給影響なし うるま

沖縄県うるま市にある沖縄電力の具志川火力発電所の桟橋で、27日、船から石炭を荷揚げする揚炭機が倒壊しました。
沖縄電力によりますと、ほかの発電所で発電量を増やしているため、電力の供給に影響はないということです。

沖縄電力や警察によりますと、うるま市宇堅にある具志川火力発電所にある桟橋で、27日午後2時ごろ、運搬船から石炭を荷揚げしていたところ揚炭機が倒壊し、運搬船に操縦席が落下しました。

この事故で、操縦していた32歳の作業員が首を捻挫するけがをしました。

NHKのヘリコプターが28日午前10時半すぎに撮影した映像では、揚炭機が土台部分から崩れていて、アームの反対側にあったバランスを取るためのおもりがなくなっていたほか、桟橋に横付けされた石炭を積んだ運搬船に折れたアームが落ちている様子が確認できました。

また、運搬船の甲板には石炭のようなものが散乱していました。

沖縄電力によりますと、桟橋には高さおよそ30メートル、幅およそ70メートル、重さおよそ1100トンの揚炭機が2つあり、27日は正午前から石炭を荷揚げする作業をしていたところ、沖合側の1つが倒壊したということです。

また、少量の潤滑油が海面に浮いていて、回収したということです。

復旧のメドは立ってなく、現在、現場の確認作業を進めているほか、台風接近への対策を行っていくということです。

この事故で、発電所の運転に影響はなく、発電所内に石炭の貯蔵もあるほか、ほかの発電所で発電量を増やしているため、電力の供給に影響はないということです。

沖縄電力や警察が事故の詳しい原因を調べています。

会見で沖縄電力の仲程拓発電本部長は「責任者として大変、遺憾に思っている。今後、このようなことが二度と起こらないように原因の調査、再発防止を徹底していきたいと強く思っている。発電設備を安定的に運用して、安定供給をしっかり果たせるようにしていく」と述べました。

沖縄電力によりますと、具志川火力発電所は、石炭火力発電所として1994年3月に運転を開始し、今回、倒壊した揚炭機は、運転を開始したときから使用され続けています。

石炭の荷揚げは月に1回程度行われ、揚炭機は日々の点検や年に1回のペースで定期的にメンテナンスを行っているということです。

腐食具合によって塗装や補修を行っていて、2014年には、腐食の激しかった石炭をかき上げる先端のバケット部分を交換していたということです。

経済産業省によりますと、発電所に設置された石炭を船から陸揚げする揚炭機が倒壊する事故は、これまでに全国で少なくとも2件起きているということです。

おととし4月には、長崎県松浦市の九州電力松浦発電所と電源開発松浦火力発電所が共有する港で倒壊しました。

強風による風化で破損が進んだことが原因と推定されるということです。

去年3月には、福島県新地町で相馬共同火力発電の新地発電所に隣接する相馬港で2機が倒壊しました。

原因は、震度6弱の揺れを観測した地震だということです。