海の事故から命を守るには

沖縄県内では、梅雨が明け、本格的なマリンレジャーシーズンを迎えましたが、気をつけたいのが海での事故です。事件・事故を担当している河合遼記者の報告です。

特に事故につながるリスクが高いのが、「離岸流」に巻き込まれるケースです。そして「スノーケリング中」の事故です。今回はその2つについて、危険性と対策をお伝えします。まずは、離岸流についてです。

6月9日、糸満市の大度浜海岸の沖合。スノーケルをしていた韓国人男性が海上保安庁に救助されました。離岸流に巻き込まれ、沖合まで流されました。

きのう(7月4日)同じ場所で海上保安本部が離岸流の危険性を伝えるメディア向けの体験会を開催。海岸の目の前にさんご礁が広がりスノーケリングのスポットにもなっていて、一見穏やかな海に見えますが、危険な場所もあるんです。それはリーフの切れ目です。こうした場所で、離岸流が発生しやすいんです。潮の満ち引きや波が高い時にさんご礁の内側から沖に向かって強い流れができます。
海面に色をつけると、着色剤はどんどん海に向かって流れていきました。流れの速さは秒速2mにもなるといいます。プロの潜水士も流れに逆らうので精いっぱいでした。

秒速2メートルはオリンピックの水泳選手が泳ぐのスピードと同じくらいの早さです。県内では去年1年間にマリンレジャー中に事故に遭った人のうちおよそ3割が、離岸流に巻き込まれたケースでした。

海上保安本部では、県内で離岸流による水難事故が起きた場所をホームページで示しています。本島周辺では18か所、先島では9か所の海域があります。このほかにも、離岸流が発生する可能性がある海域や、航空機で発生を確認した場所もあります。こうした場所での遊泳には注意が必要です。

では、もし離岸流に巻き込まれたらどうしたらいいのか。

流れに逆らうのではなく、そのまま流されて、海岸と平行に泳いで流れから抜け出して岸に向かってください。一方で、岸に戻れない状況だったら体力を消耗しないためにも浮いて救助を待つことも重要です。浮いているためにも、必ずライフジャケットは着用してほしいと思います。

一方、県内では、スノーケリング中の事故も相次いでいて、マリンレジャーを種別で見ると、過去5年はスノーケリング中の事故が最も多くなっています。ことし(2023年)は、すでに12人が事故にあい4人が死亡しています。事故防止にはどうすればいいか、体験してきました。

スノーケリング中の注意点、それはパニックにならないことです。スノーケルに水が入ってしまった時に、海水を飲んでパニックに陥るケースが多いんです。それを防ぐには、スノーケルに入ってきた水を勢いよく吐き出す「スノーケルクリア」を習得しておくことが重要です。

私も体験しましたが、スノーケリングを行う前に、繰り返し練習する必要があると感じました。

海上保安本部は「練習方法としては、スノーケルをくわえて、顔をつけて、スノーケルの中に水を入れる。顔を上げて思い切り吹いて海水が出てくることを確認することが大切だ。それができない状態で、海に出てしまうとパニックを起こして、レジャーどころではなくなってしまうので、マスククリア、スノーケルクリアといった基本的なことをおさえながら、水中の中を楽しむだけでなく、周りの景色とかも見て、自分が帰れる位置にいるのかを確認していただいて、楽しんでいただければ」としています。

海の事故で特に気をつけた、「離岸流」と「スノーケリング」について紹介しましたが、海上保安庁は、水上バイクや釣りなど、レジャー別に海で遊ぶ際の注意点を紹介しています。正しい知識をつけて、事故にあわないように、海のレジャーを楽しんでもらいたいです。