新型コロナの患者数 前週比1.5倍 患者搬送困難なケースも

県内では新型コロナの感染が急速に拡大していて、先週の患者数は前の週と比べて1.5倍に増えました。
患者の搬送先を探すのにおよそ1時間かかるケースも発生していて、県は軽症の場合は救急受診を控えるよう呼びかけています。

県によりますと、今月18日までの1週間に県内54の医療機関から報告された新型コロナの患者数は1552人、1医療機関あたりの平均患者は28.74人で、前の週から1.56倍に増えました。

推計される患者総数は7280人で、全国最悪の水準の感染状況が続いているとみられます。

地域別でみると、南部保健所が40.79人、八重山保健所が31.67人、那覇市保健所が29.83人、中部保健所が23.63人、北部保健所が17.80人、宮古保健所が15.25人で、すべての地域で前の週を上回りました。

県全体の入院者数は今月18日現在で507人で、重症は9人、新型コロナ専用病床の使用率は県全体で57.8%です。

県によりますと、県内の医療機関では医療提供体制がひっ迫しはじめ、27の重点医療機関では7か所で救急診療、3か所で一般診療を制限しているということです。

このうち県立病院では救急の受診者数が増加し、新型コロナ以外で入院した患者が院内で感染するケースもあとを絶たず、感染するなどして勤務できない医療従事者が21日時点で158人にのぼっているということです。

県立八重山病院は22日、急きょ記者会見を開き、救急を受診する患者について重症度と緊急度の高い患者を優先して診療することを明らかにしました。

医療提供体制のひっ迫はコロナ患者の救急搬送にも影響が及んでいます。

県によりますと、先週、県内では救急車を呼んだ患者の搬送先を探すのに55分かかるケースや病院への照会が10回行われたケースなど、搬送が困難な事例が複数発生しているということです。

県保健医療部の糸数公部長は「感染を防ぐための行動を取ってもらえるよう期待したいが、それがない場合は患者数の増加傾向が続く可能性がある。軽症の場合は救急の時間帯の受診は控えてほしい」と呼びかけています。

また糸数部長は23日の「慰霊の日」に関して、屋内で高齢者がいるところではマスクを着用し、せきが出るなど症状がある場合は特に高齢者に会う際に注意してほしいとしています。

このほか、県教育委員会によりますと、今月、県内の公立学校では学園祭や後夜祭といった学校行事が行われたあと感染が拡大するなどし、学校閉鎖や学級閉鎖が起きているということです。

このため県教委は20日、市町村や各公立学校に通知を出して、行事の際の感染対策を徹底するよう求めました。