沖縄に生きる個人の戦後史に焦点 那覇市でシンポジウム開催

沖縄に生きる人たちの個人の戦後の歩みに焦点を当てた本がこのほど刊行されたのにあわせて20日、那覇市でシンポジウムが開かれました。

この本は、去年沖縄が本土に復帰して50年の節目の年を迎えるのにあわせて、沖縄に生きる人たち個人の生活史を記録することで沖縄の戦後の歩みを伝えようと地元の新聞社が企画しました。

連載は去年5月から始まりこのほど刊行された「沖縄の生活史」にはあわせて100人の聞き手が、親や祖父母、叔母など思い思いに選んだ人から聞き取ったインタビューの内容が記されています。

20日那覇市で開かれたシンポジウムには、聞き手や語り手として参加した人などおよそ30人が集まりました。

本を監修した、社会学が専門の京都大学の岸政彦教授は「権力者や有名な人の話ではなく、一般の人々の語りを記録し文字として残していけることに今回のこの取り組みの意義があると思う」と語りました。

このあと、企画に参加した人を交えてディスカッションが開かれ参加した動機や語り手を選んだ理由、復帰の日に関する聞き取りで印象に残ったことなどについて意見を出し合いました。

おばから聞き取りを行った、糸満市の20代の女性は「いつもお世話になっているおばさんのこれまでの歩みを知ることができ、それを記録として残せてとてもよかったです」と話していました。

語り手の那覇市の70代のおばは「語り手として選んでくれて本当にありがとうという気持ちでいっぱいです」と話していました。