旧海軍司令部壕で見つかった名簿に父親の名 遺族が現地で慰霊

沖縄戦で旧日本海軍の拠点となった、豊見城市にある旧海軍司令部壕からこのほど部隊の名簿が見つかりました。
そこに記されている戦死した兵士の93歳の長女が18日、鹿児島県から司令部壕を訪れ、父親の霊を慰めました。

去年10月、遺骨収集を行う京都府のNPOが司令部壕内の未公開の場所で行った調査で、砲弾の薬きょうが見つかり、その中に旧日本海軍の陸上戦闘部隊の名簿が折りたたまれた状態で入っていました。

名簿には複数の兵士の階級や氏名が記されていて、糸満市の「平和の礎」に刻まれた犠牲者の名前と照合した結果、多くが九州出身者だということが分かりました。

この中の1人、鹿児島県出身の渕上正治さんは44歳で衛生兵として出征し、昭和20年に沖縄で戦死しました。

18日、鹿児島県に暮らす長女の茶木久美子さん(93)が夫と司令部壕を訪れました。

久美子さんは、名簿を手に取って父親の名前を指でなぞりながら「大変だっただろうに」と静かに語りかけていました。

そして、司令部壕の中に入って、名簿が見つかった場所に向かって「お父さん、会いに来たよ」と声を震わせながら呼びかけていました。

久美子さんは「父がこんなところで頑張っていたんだと思うと何も言えず、ただただ胸が詰まる思いです」と話していました。