里親問題で第三者委員会が報告書「子どもの気持ちを大切に」

那覇市の夫婦が養育してきた子どもの里親委託を、児童相談所が解除したことに異議を申し立てている問題で、県の第三者委員会は最終報告書をまとめ、子どもの気持ちを大切にした対応ができる組織づくりが必要だなどと提言しました。

県の児童相談所は、県内に住む夫婦が里親として養育してきた子どもを、実の親が引き取りたいと申し出たことを受けて、去年1月、里親委託を解除しましたが、里親の夫婦が異議を申し立てています。

問題を検証するため県が設置した第三者委員会は、2日県庁で会見を開いて最終報告書の内容を明らかにしました。

報告書では、児童相談所が法的な対応を優先し、子どもの声を取り入れずに対応し、実の親と里親を対立させる行為を繰り返したなどと指摘しています。

そのうえで、子どもの気持ちを大切にし、実親と里親をつなぐ対応が必要で、里親の声が受け止められる制度をつくることを提言しています。

また、法的な対応を検討する際も福祉の観点をベースにし、医療や心理的な知見を取り入れられる体制を整え、担当者を組織で支える職場環境づくりも必要だと指摘しています。

第三者委員会の委員長で日本大学の鈴木秀洋准教授は「子どもにとってよくない経験をさせてしまった事案だと分析している。今後、県と児童相談所には、子どもを中心にした福祉的な対応の実現と多様な知見を取り入れる制度運営を望みたい」と話しています。