「芭蕉布」復興に尽力 人間国宝・平良敏子さんの告別式
戦争で途絶えそうになった沖縄の伝統的な織物「芭蕉布」の復興に取り組み、後進の指導にあたってきた人間国宝の平良敏子さんは今月13日に亡くなりました。
16日は、地元の大宜味村で告別式が営まれ、参列した人たちがその死を悼みました。
平良敏子さんは大正10年に大宜味村に生まれ、母親から木綿織や絹織の技術を学んだあと、岡山県倉敷市で民芸運動の指導者、外村吉之介氏に学びました。
その後、大宜味村に戻ってからは後継者がおらず途絶えた状態になっていた「芭蕉布」の復興に力を尽くし、喜如嘉の芭蕉布保存会の会長として後進の指導にあたるとともに、みずからも、常に新しい感覚の作品づくりに取り組んできました。
その卓越した技術と高い芸術性が評価され、平成12年には国の重要無形文化財保持者、いわゆる「人間国宝」に認定されました。
平良さんは100歳を超えても後継者の養成施設に通い、糸を紡ぐなどの作業にあたっていたということです。
16日、大宜味村で営まれた告別式には、地元の人たちや工芸関係者が参列し、焼香をしたあと、糸を紡いでいる平良さんの遺影に向かって手を合わせていました。
大宜味村の宮城功光村長は「敏子先生はしっかりと後輩の指導をしてくださった。天国でも芭蕉布や伝承者の育成を祈っていると思うので、人材がこれからも育つよう行政としても取り組んでいきたいと、ことばをかけました」と話していました。
玉城知事は、亡くなった人間国宝の平良敏子さんについて「芭蕉を紡ぐとても細かい作業を丁寧にされている姿を見て、神々しいような、そういう存在の方だなと受け止めたことを訃報に接して思い出した。伝統の技術を若い方々にも継承していき、足跡を残していただいたことに改めて心から敬意と感謝を申し上げます」と話していました。