知事後援会 父親から上限100倍超の寄付か すでに時効

岡山県の伊原木知事の後援会をめぐる政治資金規正法違反事件で、後援会が知事の父親から「借り入れた」と収支報告書に記載していた資金について、去年、父親が検察の任意の調べに対し「本来はあげたお金なのに実態とは異なる処理がなされていた」などと説明していたことが、刑事事件の確定記録でわかりました。
父親からの資金提供は1年間で1億5000万円を超えていた年があり、これが「借り入れ」ではなく「寄付」だった場合には、法律の上限の100倍を超える献金を受け取っていたことになりますが、すでに時効が成立しています。

岡山県の伊原木知事を支援する「いばらぎ隆太後援会」をめぐっては、3年前(2021)までの4年間分の政治資金収支報告書に、知事の父親の伊原木一衛氏からの借り入れや、父親側への返済などがあったように装ううその記載をしていたとして、去年10月、当時の会計責任者など2人が政治資金規正法違反の罪で略式命令を受けました。
NHKがこの事件の確定記録を検察で確認したところ、後援会への資金提供について去年、父親の一衛氏が検察の任意の調べに対し「本来はあげたお金なのに、借入金として実態とは異なる処理がなされていた」と説明していたことがわかりました。
政治資金規正法は後援会などの政治団体が、個人から1年間に受け取ることができる寄付の上限を150万円と定めていますが、NHKが後援会の過去の収支報告書を調べたところ、知事が初当選した2012年には、父親から1億5400万円が提供され「借入金」として記載されていました。
これが「借り入れ」ではなく「寄付」だった場合には、法律の上限の100倍を超える献金を受け取っていたことになりますが、違法な献金だったとしても、すでに5年の時効が成立しています。
NHKは後援会と一衛氏の双方に事実関係を確認する質問状を送りましたが、後援会が一括して回答し「一衛氏は、スタッフが適法に処理してくれるものだと思っていたと説明している」とした上で「今後は法令の順守に努める」とコメントしています。

【神戸学院大 上脇教授 “不問に付すのは問題”】
「政治とカネ」の問題の追及を続け、伊原木知事の後援会の関係者を刑事告発していた、神戸学院大学の上脇博之教授は、1億5000万円を超える資金提供が寄付だった場合、知事は最初の選挙の時に違法な寄付によって当選したことになると指摘した上で「こんなかたちで当選してきたのを不問に付すのは問題だ。政治的には辞任しないといけない、そういう事件だ」と話しています。
また政治資金収支報告書の公表期間が「3年」とされていて短いという課題を指摘し「首長や議員の任期は4年なのに、3年という公表期間は短すぎる。今回もそれが大きなネックになって真実が明らかになってこなかった。公表期間が短くて誰が得をするかというと、監視される政治家だ。法律を改正して半永久的にか、せめて10年・20年と、収支報告書を保存・公表することが必要だと思う」と話しています。