岡山大学教授が外来種の害虫駆除してきた歴史を本に

野菜や果物を荒らす外来種の害虫を駆除してきた歴史について、岡山大学の教授が本にまとめました。
教授は「日本の食を守るための現場の努力を知ってほしい」と話しています。

本を出版したのは、岡山大学 学術研究院環境生命自然科学域の宮竹貴久教授です。
宮竹教授は、昭和62年から沖縄県職員として、ハエの一種で幼虫が野菜や果物を食べる「ミバエ」の根絶事業に関わり、岡山大学に移った後は、さまざまな害虫とその天敵の益虫を育て、学生たちと外来種の害虫駆除の研究にあたっています。
この本のなかで、沖縄でかつてゴーヤーなどに猛威を振るった「ウリミバエ」を不妊化し、大量に放つことで20年以上の歳月をかけて根絶に成功した歴史や、自身も根絶作戦に関わるサツマイモなどの寄生虫「アリモドキゾウムシ」の生態について紹介しています。
一度根絶した場所に害虫が飛来して見つかるケースが近年相次ぐ一方、予算がなかなかつかず公務員や研究者が減る現状に危機感があるという宮竹教授は、現場の努力で日本の食が守られていることを伝えようとこの本を出版しました。
宮竹教授は「空港で海外からの果物の持ち込みを禁止しているのは、害虫の侵入を防いでいるためで、こうしたルールを改めて認識してほしい」と話しています。