近代の“推薦産業遺産”認定の石油発動機 運転を披露 井原

明治から昭和にかけて農業用や工業用機械の動力源として広く使われた「石油発動機」を多くの人に知ってもらおうと、愛好家たちが石油発動機の運転を井原市で披露しました。

「石油発動機」は、灯油や軽油で動くエンジンの一種で、29日に運転が披露されたのは、明治40年代に大阪の鉄工所で製造された発動機です。
この発動機を所有する大山貢さんの井原市の自宅の敷地には、愛好家およそ10人が集まり、バーナーでシリンダーへッドの先端部分を加熱した状態で燃料の灯油を吸入すると、圧縮された混合気が爆発して、発動機が作動し、2つの動輪が回転を始めました。
この石油発動機は、昭和20年代まで岡山県西部の製麺工場や製材所で動力源として使われ、処分を検討していた製材所から大山さんが譲り受け、仲間の愛好家が修理したということです。
29日に運転を披露した石油発動機は、近代以降の産業の歴史を検証するうえで歴史的価値が高いとして、平成20年に学会から「推薦産業遺産」に認定されています。
大山さんは「5年ぶりに動いたのを見て感無量です。日本の産業の発展に石油発動機が大きな役割を果たしたことを後世に伝えていきたい」と話していました。