岡山市消防局 職員が熱中症対策で暑さに慣れるトレーニング

重い装備品を身につけ、火災や災害の現場で活動する消防職員が、熱中症にならないよう、岡山市消防局は今の時期から暑さに慣れるトレーニングを行っています。
梅雨の前から熱中症で搬送される人が増えるため、市民も早めの対策をと呼びかけています。

23日、岡山市北消防署に消防職員たちが集まり、体を暑さに慣れさせるための「暑熱順化トレーニング」に取り組みました。
トレーニングは、火災の現場に出動する時と同じ格好で行い、カッパや防火服を重ねて着て、空気が入った呼吸用のボンベを担ぐと、その重さはおよそ20キロにもなります。
まず火事を想定して、2階に取り残された人をはしごなどを使い救出する訓練を20分間行いました。
次にボンベのみ外して、消防署の中の階段をランニングで20分間、上り下りする訓練を行い、隊員たちは後半になると息が上がり、額には汗がにじんでいました。
重装備の消防職員が熱中症にならないよう、岡山市消防局は、6年前からこのトレーニングを行っています。
通常の訓練のなかに組み込んで、毎年4月から9月ごろにかけて実施します。
今の時期から梅雨入りまでは2日に1回を5連続で、その後は少なくとも4日に1回、この訓練を繰り返して熱中症になりにくい体を保ちます。
岡山市北消防署特別高度救助隊の前田啓副隊長は「暑さに負けない体づくりに向けた、いい初日になったと思う」と話したうえで「熱中症は、体が暑さに慣れていない梅雨までに増える」と述べて、市民に対しても早めに熱中症対策に取り組むよう呼びかけていました。

【市民も簡単にできる「暑熱順化」】
日本気象協会は、市民も簡単にできる「暑熱順化」を紹介しています。
1つ目は、ウォーキングやジョギングです。
「1駅分歩く」とか「できるだけ階段を使う」など汗をかく動きを意識します。
激しい運動をする必要はなく、目安として週5日、ウォーキングで30分、ジョギングで15分程度がよいということです。
2つ目は、筋トレやストレッチ。
室内の温度に注意しながら、週5日以上、1回30分が目安です。
3つ目は、お風呂はシャワーだけでなく湯船につかること。
2日に1回、じんわりと汗をかくくらいが目安で、その前後に水分と塩分を補給します。
この「暑熱順化」の重要性について、運動生理学が専門の環太平洋大学体育学部の吉岡利貢教授は「今は季節の変わり目で気温が急に上がる日があり、汗をかけないと危険。少し体温が上がるだけで汗をかける状態を作っておくことが大事」と指摘します。
吉岡教授は、汗をかきにくい人や肥満の人は熱中症リスクが高く、それを踏まえて「涼しい環境」を準備できるかがポイントだといいます。
具体的には冷房を活用し、風通しのいい服装を選び、体温が上がりすぎた場合は氷などを使い対応します。
吉岡教授は「少しアクティブに生活しておくことが、体力を高めて汗をかける状態につながるので、過酷な時期を安全に乗り切るためにはいい方法だ」と話していました。

【熱中症増加 岡山市消防局注意呼びかけ】
総務省消防庁によりますと、熱中症で救急搬送された人は、去年の5月から9月に全国で9万1467人で、前の年よりおよそ2万人増えました。
そして岡山県内では、去年の同じ時期に1865人が搬送され、5人が死亡しました。
前の年より搬送した人数は301人、死者は4人それぞれ増えました。
岡山市消防局は熱中症対策として、時間を決めてこまめに水分を補給し、部屋の気温が28度以上にならないようエアコンを使い、けいれんや体が動かない症状があれば、ためらわず救急車を呼んでほしいと呼びかけています。
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【全国救急搬送】。
R5・・・9万1467人。
R4・・・7万1029人。
R3・・・4万7877人。
R2・・・6万4869人。
R元・・・7万1317人。
【岡山救急搬送】。
R5・・・1865人(5)。
R4・・・1564人(1)。
R3・・・1037人(3)。
R2・・・1310人(4)。
R元・・・1448人(4)。
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