年金支給額引き下げ取り消し求めた裁判2審も原告の訴え退ける

法律の改正に伴い、年金の支給額が段階的に引き下げられたのは憲法に違反するとして、県内の140人あまりの受給者が、引き下げの取り消しなどを求めた裁判で、広島高等裁判所岡山支部は、1審に続き原告の訴えを退けました。

県内の受給者147人は、法律の改正で、年金の支給額が平成25年から段階的に引き下げられたことについて、生存権を保障する憲法に違反するなどとして、国に対し、引き下げの取り消しや引き下げ前の支給額との差額を支払うよう求めていました。
1審の岡山地方裁判所は3年前に訴えを退け、原告側が控訴していました。
18日、2審の広島高等裁判所岡山支部の河田泰常裁判長は「法改正は年金制度における世代間の公平をはかり、制度に対する信頼の低下を防ぎ、年金の持続可能性を確保する観点からも不合理なものとはいえない」として、原告らの訴えを退けました。
年金の支給額の引き下げをめぐっては、去年12月に最高裁判所が「一律の引き下げは不合理だとはいえず、憲法に違反しない」として、兵庫県の受給者の上告を退けていて、各地での同様の裁判への影響が注目されていました。

判決後の会見で、原告団長の東都支男さん(85)は「一言で言えば、失望と怒りです。私たちの主張に正面から向き合った判決をしてほしいと思ってきましたが、はぐらかしたり、無視したりしているところがある。最高裁で判断してもらいたいので、皆と相談した上で、原告がたとえ私1人になったとしても最高裁に訴えたい」と述べました。
原告側の弁護団長を務める則武透弁護士は「弁護団としても納得がいかない。上告するかどうかは原告の皆さんが決めることだが、仮に弁護団が私1人になっても戦いますのでぜひ上告してもらいたい」と話していました。

判決について厚生労働省年金局は「国の主張が認められたと承知している」とコメントしています。