「PFAS」広がる健康不安 吉備中央町

有機フッ素化合物の「PFAS」は有害とされる一部の物質が、全国各地の河川などから検出されています。
このうち、吉備中央町の円城浄水場では、去年10月、国の暫定的な目標値の28倍の濃度のPFASが検出されていたことが分かりました。
町は令和2年度の検査でも、目標値の16倍を検出していたにもかかわらず、県への報告を怠っていました。
この間、水道水を飲み続けてきた住民には健康への不安が広がっています。
健康への影響について、国は十分には分かっていないとしています。
一方、WHO=世界保健機関では「発がん性」を4段階に分類しています。
去年11月、有害とされるPFASの一つPFOAを、4段階のうちの最も高い「発がん性がある」に位置づけました。
去年、吉備中央町で住民らが自主的に行った血液検査でも、このPFOAが非常に高い濃度で検出されています。
町は22日、浄水場の水を飲んでいたおよそ1000人の住民などを対象にした健康への影響を調査する施策の基本方針を発表し、住民から強い要望が出ていたPFASの血中濃度を調べる血液検査を、町が主体となって公費で実施するとしています。
また既存の特定健診や人間ドックなどの結果を収集し、PFASの影響が指摘されている脂質と肝機能に関する項目を継続的に観察し評価するほか、妊産婦への情報提供や助言体制の整備、早産や低出生体重児の出生割合の観察などを行います。
また社会全体で不安が高まっていることを受け、国も健康影響への研究を新年度から始めることになりました。
3つの研究機関に委託して行われますが、このうちの北海道大学のグループでは、胎児期から17歳までの700人分の血液に含まれるPFASの濃度を分析して、成長に与える影響などを明らかにするとしています。