ウクライナ侵攻から2年 岡山 避難している人招きコンサート

ロシアのウクライナ侵攻から今月(2月)24日で2年です。
岡山市内の中学校に、県内で避難生活を送る人たちが招かれてコンサートが開かれ、一緒に歌って平和への思いを新たにしました。

岡山市の岡山学芸館清秀中学校でのコンサートには、この学校と系列の高校の生徒、およそ150人が参加し、ウクライナから避難する2組がゲストとして招かれました。
このうち、首都・キーウ出身でおととし12月から岡山学芸館高校に通うジグノフ・イェホールさん(18)は、侵攻の直後に避難した村が攻撃を受けたことや、日本文化に興味があって来日し、この春から広島県の大学に進学することなどを説明しました。
また、ハルキウの出身で、おととし3月、岡山市に避難してきた母親のオリガさん(38)と娘のソフィアちゃん(8)は、故郷の美しい町が破壊されたことや、受け入れてくれた日本の人たちの優しさに感謝していると述べました。
そして、オリガさんのアコーディオンの演奏に合わせて、ソフィアちゃんがウクライナの民謡を歌うと生徒たちは手拍子をして聴き入っていました。
最後に全員でマイケル・ジャクソンの「Heal the World」を歌い、「世界を癒してもっといいところにしよう」という英語の歌詞を口にして心をひとつにし、平和への思いを新たにしていました。
参加した高校生のひとりは、「大変な思いをしても、異国の地で自分たちができることに挑戦しているのだなと感銘を受けました。私たちだからできる支援を考えたいと思いました」と話していました。
イェホールさんは「2年がたちたくさんの人が戦争を忘れていますが、ウクライナではまだ続いています。そのことを忘れないでと伝えたいです」と話していました。
また、オリガさんは、先月、故郷の父親が戦争のストレスで病気を患い亡くなったということで、「早く終わって平和になってほしい。それが一番の願いです。家族に会いたいですし、家に帰りたいです」と話していました。

【避難している人の現状は】
ウクライナから避難する人たちを支援する日本財団が去年11月から12月にかけて1000人余りの避難者を対象に行ったアンケートでは、「できるだけ長く日本に滞在したい」が39%、「ウクライナの状況が落ち着くまでは、しばらく日本に滞在したい」が33.9%と、7割余りが日本での長期的な滞在を希望しています。
また、給付金と生活物資の提供以外で必要な支援について複数回答で尋ねた質問では、▼「仕事の紹介、職業訓練」が44.7%と最も多く、▼「日本人の仲間づくり」が34%、▼「日本語教育」が29.4%などだったということです。
岡山県によりますと、県内に避難する人は、22日時点で、▼岡山市、▼倉敷市、▼総社市、▼備前市にあわせて9世帯11人います。
日本での生活が2年近くとなり長期的な滞在を決めた人もいる一方、笠岡市に避難した30代の母親と2歳の息子は祖国に残した家族の近くにいたいとヨーロッパに戻る決断をしました。
2人をサポートした笠岡市人権推進課の重見圭一課長は「言葉の壁があり、想像していた環境ではなかったかもしれないが、地域の人たちが2人のことを気にかけてくれ、それは本人も感じてくれたと思う。2人を受け入れたことはみんなにとって貴重な経験で、今後、避難者を受け入れることがあれば生かしていきたい」と話していました。

【ウクライナ侵攻2年 各地でイベント】
ウクライナ侵攻2年にあわせて、県内各地でイベントが行われます。
▼23日午後3時から、倉敷市の天満屋倉敷店で、市内に避難する3人がウクライナの現状について説明し、市民と交流を深めます。
▼その後、午後5時から午後7時まで、JR倉敷駅の北口に県内のウクライナ人や高校生が集まり、平和と復興に祈りをささげてキャンドルに火をともし、募金活動を行うことにしています。
そして、▼侵攻から2年の24日は、岡山市北区の西川アイプラザで交流会が開かれ、避難者がウクライナの文化を紹介し民族楽器を使ったコンサートが予定されています。