コロナ後遺症専門外来 患者あとを絶たず“感染対策の徹底を”

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行して、8日で半年です。
岡山大学病院の新型コロナ後遺症の専門外来には患者があとを絶たず、治療にあたる医師は改めて感染対策の徹底を呼びかけています。

岡山大学病院は、おととし2月に新型コロナ後遺症の専門外来を設置し、10月10日までに800人の患者が受診しました。
病院によりますと、オミクロン株では、感染者の1000人に1人程度の割合で後遺症がみられ、感染の直後は軽症だった人がほとんどでした。
またオミクロン株の後遺症を症状別に見ると、およそ6割が「けん怠感」を、およそ3割が頭がすっきりせずに思考力が低下する「ブレインフォグ」の症状を訴えています。
さらに睡眠障害や頭痛などを訴える患者もいて、さまざまな症状や要因があり特効薬もないため、この外来では対症療法を行っています。
岡山大学病院の大塚文男総合内科・総合診療科長は「感染から1か月程度たっても、けん怠感やせきなどの症状が続くときは、かかりつけ医に相談してほしい。手洗いや場面に応じたマスク着用など、引き続き感染対策をしてほしい」と話しています。

【後遺症を詳しくみると】
岡山大学病院が、新型コロナ後遺症の専門外来を10月10日までに受診した800人について詳しく調べました。
このうち、オミクロン株に感染した人は545人いて、感染直後の症状は自宅やホテルなどで療養した軽症の人が517人で95%。
病院に入院した中等症以上の人は28人で5%でした。
従来株やデルタ株に比べると、オミクロン株では症状が軽くても後遺症を訴える人の割合が多くなりました。
症状別に見ると「けん怠感」が64%(351人)。
もやがかかったように感じて頭がすっきりせず思考力が低下する「ブレインフォグ」が31%(170人)。
そして「睡眠障害」が24%(135人)。
「頭痛」が24%(133人)。
「呼吸困難感」が18%(101人)。
「集中力低下」が13%(76人)。
「嗅覚障害」が11%(62人)。
「味覚障害」が11%(61人)。
「脱毛」が5%(30人)でした。
オミクロン株は従来株・デルタ株と比べて、「けん怠感」「ブレインフォグ」「睡眠障害」「頭痛」「集中力低下」を訴える人の割合が増えていましたが「嗅覚障害」「味覚障害」「脱毛」は減少していました。
治療を終えた患者は342人で、コロナを発症してから回復するまでの平均日数は204日でした。
一方、外来に通院中の患者は421人いて、発症からの平均日数が453日でした。
およそ半数の患者が、半年たっても後遺症が続いたという結果になりました。

【後遺症診察医療機関ホームページで案内】
新型コロナの感染から1か月程度たっても、けん怠感などの症状がとれない時、国や岡山県はかかりつけ医に相談することを推奨しています。
しかし、引っ越しなどでかかりつけ医がない人もいることから、県は後遺症の診察を行う医療機関をホームページで案内しています。
県内の80以上の医療機関が紹介されていて、けん怠感や頭痛、睡眠障害など医療機関ごとに対応できる症状も示されています。
なお、岡山大学病院の専門外来は、原則としてかかりつけ医などの紹介状が必要です。