“闇バイト”脅迫文段ボール設置被告に執行猶予ついた有罪判決

脅迫文を貼った段ボールを県庁やJRの駅など6か所に置き、業務を妨害した罪に問われた21歳の被告に対し、岡山地方裁判所は、報酬目当てに闇バイトに応募した動機などは酌量の余地がないとして、執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。

倉敷市の無職・弓場晴菜被告(21)は、ことし6月、県庁や市役所・岡山駅など県内のあわせて6か所に、脅迫文を貼った段ボールを設置したなどとして、威力業務妨害の罪に問われました。
検察は「非常に悪質ないたずらだ」などとして、懲役1年6か月を求刑していました。
5日の判決で、岡山地方裁判所の吉田真紀裁判官は「借金の返済に困り、警察に捕まることはないと安易に考え、報酬目当てに闇バイトに応募した動機と経緯は、短絡的かつ身勝手で酌量の余地はない」と指摘しました。
その上で「40万円の報酬と引き換えに闇バイトの実行役を担い、場所によっては5時間にわたって不審物への対応を余儀なくさせている。一日6か所の公共施設などを狙った犯行で、社会に与えた影響も軽視できない」とし、反省していることなどを考慮して、執行猶予3年をつけた懲役1年6か月の判決を言い渡しました。
被告の弁護人によると判決について被告は「申し訳ない」と話していて、控訴はしないということです。

【闇バイトの実態が明らかに】
今回の事件を巡っては、安易に応募すると脅され、使い捨ての駒として利用される闇バイトの実態が明らかになりました。
裁判のなかでの検察側の指摘や被告の話によると、被告はおよそ400万円の借金を返済するため、ことし6月、インターネットの掲示板を通じて「運び」という闇バイトに応募しました。
そして40万円の報酬と引き換えに、洗剤やスプレー缶を箱に入れて市役所などに設置するよう指示を受けました。
被告は「応募したときは、報酬がもらえると思っていた。指示役から『捕まるリスクはない』と言われ信用してしまった」と述べています。
裁判官とのやりとりのなかで、違法性の認識について問われた被告は「運び」といっても、薬物などとは違うので大丈夫だと思ったという趣旨の発言をし、安易に応募していたことがうかがえます。
一方で被告は、応募時に運転免許証や顔写真のデータを送っていたため、指示役に「個人情報をばらまく」などと脅され、結局、報酬も受け取れなかったということです。