“接見の秘密が侵害された” 弁護士が国に賠償求める訴え

岡山刑務所の拘置施設に勾留されている被告とのやりとりを、届け出て録音した岡山県内の弁護士が、音声データを刑務所の職員に確認され、弁護活動の自由や接見の秘密が侵害されたとして、国に賠償を求める訴えを起こしました。

岡山地方裁判所に訴えを起こしたのは、岡山弁護士会の小野智映子弁護士です。
訴えによりますと、岡山刑務所でことし7月、事前に申し出た上で勾留されている被告との接見でのやりとりをICレコーダーで録音したところ、接見後に職員からその内容を確認すると言われ、再生せざるを得なかったことは、法律で認められている弁護活動の自由や接見の秘密が侵害されたとして、国に100万円の賠償を求めています。
会見した小野弁護士は「話を聞かれずに被告人と弁護士が話すことは信頼関係を築くうえでとても重要だ。秘密接見は最低限であり、最高に守られないといけない」と話していました。
一方岡山刑務所は、接見時の録音については法務省が定めている規定に基づいて運用しているとした上で「訴状が届いていないので、コメントできない」としています。

逮捕された容疑者や起訴された被告など、身柄を拘束された人と弁護士は、接見や書類などでやりとりすることが刑事訴訟法で認められています。
これは「接見交通権」と呼ばれ、このなかで立会人なしで接見できると規定されています。
一方、被告などが弁護士以外の人と面会する場合は立会人が必要になります。
日本弁護士連合会は、接見の内容が事後であっても立会人に知られてしまうと、萎縮して話せなくなるおそれがあるため、重要な権利だとしています。