「緊急避妊薬」の無償提供始まる 県内のNPO法人

若い世代の意図しない妊娠を防ごうと、県内のNPO法人が9月から「緊急避妊薬」の無償提供を始めました。

取り組みを始めたのは、岡山市北区でフリースクールを運営するなど、教育活動に力を入れているNPO法人の無花果です。
国のまとめによりますと、令和3年度に県内で人工妊娠中絶を行った人は1871人で、このうちおよそ3割にあたる626人が24歳以下でした。
NPO法人では、こうした若い世代の意図しない妊娠を防ごうと、9月7日から24歳以下を対象に「緊急避妊薬」の無償提供を始めました。
提供を希望する人は専用のLINEアカウントに登録し、チャット画面に表示される「緊急避妊薬を受け取りたい」を選びます。
その後、表示されるURLをクリックし、サイト内の説明に従って提携する岡山市北区のクリニックを受診します。
そして、医師から状況の聞き取りや副作用の説明を受けたうえで、提供を受けることができるということです。
このLINEアカウントでは、性に関する相談も受け付けています。
NPO法人・無花果の内海千恵美さんは「望まない妊娠や性に関する悩みによって、若い人たちが何かを諦めないといけない状態を防ぎたい。緊急避妊薬が必要になる状況はさまざまなので、一人で悩みを抱えず、この取り組みを思い出してほしい」と話しています。

緊急避妊薬は、避妊ができなかったり、性暴力を受けたりしたあとに意図しない妊娠を防ぐための薬です。
日本産婦人科医会によりますと、緊急避妊薬は性行為から72時間以内に服用する必要があり、排卵を遅らせたり、抑制させたりする作用などで80%から90%の確率で妊娠を防げるということです。
また健康保険が適用されないため、5千円から2万円ほどの費用がかかるということです。
副作用は子宮からの出血や吐き気などが報告されていますが、重大なものはないとされています。
日本産婦人科医会では、一定の割合で妊娠を防げないことや、他に服用している薬との併用で効果が大きく減少することもあるとして、注意が必要だとしています。