台湾の定期便運航再開から半年 搭乗率コロナ禍前上回る高水準

岡山空港と台湾を結ぶ定期便の運航がことし3月に再開してから半年がたちました。
6月以降の搭乗率は90%を超え、コロナ禍前を上回る高い水準となっています。

岡山空港と台湾を結ぶ定期便は、新型コロナの影響で運休していた国際線の中で最初となることし3月26日に運航を再開し半年がたちました。
県によりますと、週4便の運航だった4月の平均搭乗率は73.2%、5月27日にコロナ禍前と同じ週7便に戻り、5月の搭乗率は77.8%でした。
その後は6月が91.6%、7月が91.2%、8月が93.3%、9月も20日までの速報値で91.4%といずれもコロナ禍前の平成30年度の80.7%を上回り、高い水準となっています。
一方県が観光庁の調査をもとにとりまとめた、ことし4月から6月までの3か月間に、県内に宿泊した台湾からの旅行者の延べ人数は、去年の同じ時期の139倍となる2万860人でしたが、コロナ禍前の平成31年と比べると、6割程度となっています。
これについて県観光課は「定期便が週7便に戻る前の期間も含んでいるので、6割程度というのは回復傾向にあると思っている。今後さらに多くの人に岡山に来てもらえるように努力していきたい」と話しています。

【県は魅力発信へ活動強化】
県は、台北便の搭乗率が好調な要因のひとつとして「航空会社とのタイアップ」をあげています。
台北便を運航する航空会社は、観光地などを紹介する岡山に特化したWEBページを開設しているほか、台湾の台北市にあるコンビニエンスストア2店舗で、ことし5月からおよそ2か月間、ガラス一面に岡山空港をPRするイラストを表示して搭乗率の向上に向けた取り組みを行いました。
さらに県では、より多くの台湾の人たちに岡山を訪れてもらおうと、プロモーション活動を強化するなどして魅力を発信しています。
伊原木知事は8月に台湾を訪れ、現地の旅行会社やメディアに向けて、岡山へのツアーを組んでもらえるよう、後楽園などのおすすめスポットや関西や四国などにも行きやすい交通の便の良さなどを直接アピールしました。
また台湾向けのPR動画も制作しました。
「桃太郎」の童謡にあわせて、県内の観光地やグルメを紹介する映像を、8月に動画投稿サイト「YouTube」で公開し、再生回数はわずか1か月ほどで100万回を超えました。
県観光課は「岡山に長く滞在してもらえるよう、魅力的なコンテンツを発信していきたい。また今後は、瀬戸内地域や関西などの近隣の府県と連携した広域的なプロモーションも必要になってくると思う。新型コロナの影響で、WEBでの活動がメインになっていたが、これからは海外の旅行会社の担当者を岡山に招いたり、職員を現地に派遣したりして、対面での活動にも力を入れていきたい」と話しています。

【台湾観光客はどこへ】
岡山空港で、台湾からの観光客15組に岡山での訪問先を聞きました。
その結果、美観地区がある倉敷と答えた人が最も多く7組、次に多かったのが後楽園で4組でした。
このほか蒜山や吉備津神社・鬼ノ城などと答える人もいました。
また岡山の印象を聞くと「桃」をあげる人が多くいました。
観光客の女性は「東京や大阪・沖縄など日本のさまざまな観光地に行ったことがあったので、今回は行ったことがない場所に行ってみようと思い、岡山に来た」と話していました。
また初めて岡山に来たという男性は「安い航空券を買えたので来た。バイクに乗って、岡山・高松・徳島の鳴門・姫路・淡路島に行く予定だ」と話していました。

【にぎわうぶどう狩り】
岡山特産の桃やぶどうなどのフルーツ狩りも、台湾からの観光客に人気が高いということです。
9月中旬、美作市の観光農園を訪れたのは台湾から来た団体客30人あまりです。
濃厚な甘さと豊かな香りが特徴の「ニューベリーA」という品種のぶどう狩りを体験しました。
参加した人たちは、たわわに実ったぶどうを収穫したあと、その場で試食をして楽しんでいました。
観光客の女性は「フルーツ狩りをしたくて岡山に来た。台湾のぶどうは甘酸っぱいものもあるが、岡山のぶどうはすべて甘くておいしい」と話していました。
また男性は「農園がきれいに整備されていて感心した。ぶどうの実も立派でとてもよかった」と話していました。
農園によりますと、新型コロナの影響で去年までは海外からの観光客はほとんど来なかったということですが、ことしは8月から9月にかけて、台湾などからぶどう狩りの予約があわせて4組入っているということです。
美作農園の笠原貴史さんは「海外からの観光客がやっと戻ってきた感じだが、コロナ禍前と比べるとまだ少ない印象だ。今はぶどう狩り、12月からはいちご狩りの季節を迎える。海外からの観光客にどんどん来てほしい」と話していました。

【その他の国際線は】
岡山空港では、台北便に続いて中国の上海との定期便も8月4日から運航を再開しました。
上海便の8月の平均搭乗率は75.3%で、コロナ禍前の平成30年度よりも1.6ポイント高くなりました。
しかし9月に入ってからは、少ないときは50%に届かない日もあり、20日までの速報値で60%と苦戦しています。
また岡山空港と韓国のソウルを結ぶ路線は、チャーター便が9月28日と10月1日、4日のあわせて3往復運航されます。
韓国から日本を訪れる観光客向けとなっていて、チケットはほぼ完売しているということです。
残る香港便は、再開の見通しが立っていません。
県航空企画推進課は「岡山に来る外国人観光客がコロナ禍前の水準に戻るためには、ソウル便や香港便が完全に運航を再開することが1つのポイントになる。ソウルとの定期便については、10月29日から始まる冬ダイヤでの早期の運航再開、また香港便についても、再開に向けて航空会社に働きかけていきたい」と話しています。