岡山空港4億8000万円赤字 “国際線再開・新規航路を”

新型コロナの影響で、岡山空港は令和3年度、およそ4億8000万円の赤字でした。
赤字額は令和2年度に次いで大きく、岡山県は国際線の全路線の再開や、新規航路の開拓を進め収入の確保につなげたいとしています。

県によりますと、岡山空港の令和3年度の収支は、国内線の減便や国際線の運休による着陸料の減少などで、歳入はおよそ2億9600万円だった一方、維持運営費など歳出はおよそ7億7700万円でした。
その結果、およそ4億8000万円の赤字となり、統計が残る平成21年度以降、最も赤字が大きかった令和2年度のおよそ5億8600万円に次いで、過去2番目でした。
ただ新型コロナの影響を除いても、全国的に見て地方の空港が単体で黒字となるのは厳しいのが現状です。
昨年度以降、岡山空港を発着する航空機が増えるなか、県は今年度について、空港単体での赤字幅の縮小を見込み、空港ターミナルとあわせてにぎわいを取り戻していきたいとしています。
そこで県航空企画推進課は運休が続くソウル・上海・香港便の再開や、ジェトロ岡山事務所などと連携して、タイとの直行便の誘致を進めることにしています。

【岡山空港の収支】
岡山県は、岡山空港の年間の収支を平成21年度分から公開していて、このうち、黒字だったのは平成24年度と27年度の2回です。
空港の収入の大部分は着陸料です。
着陸料とは、飛行機の重さなどによって航空会社が支払う料金で、それを増やすには、発着する便の増加や新規航路の開拓などが必要です。
その一方で、空港の安全のため支出の大部分を占める維持運営費を大きく減らすことはできません。
そこで県は、岡山空港の赤字分を一般財源で補填してきました。
ただし空港は単体ではなく、ターミナルビルの運営もセットで見ていかなければなりません。
第三セクター「岡山空港ターミナル」は、直営店収入やテナント料などで、コロナ禍前の平成28年度は1億1300万円、29年度は1億700万円、30年度は1億3900万円の利益を出していました。
県が運営する空港、第三セクターが運営するターミナルと会計は別ですが、2つをあわせると黒字となる計算です。
しかし新型コロナの影響が出始めた令和元年度は、岡山空港が1億5300万円の赤字で、ターミナルの利益も9000万円にとどまり、2つの施設をあわせた収支はマイナスになりました。
そして令和2年度は、そのマイナス幅がさらに大きくなりました。
ただ令和3年度は改善してきていて、県は国際線の全路線の早期再開などで利用者を増やし空港の赤字幅を減らして、ターミナルも含めた活気やにぎわいを取り戻そうとしています。
○空港単体の収支。
H28:3100万円。
H29:4800万円。
H30:1億1600万円。
R1:1億5300万円。
R2:5億8600万円。
R3:4億8000万円。
○ターミナル単体の収支。
H28:+1億1300万円。
H29:+1億700万円。
H30:+1億3900万円。
R1:+9000万円。
R2:1億4800万円。
R3:4000万円。
○2施設を合計すると。
H28:+8200万円。
H29:+5900万円。
H30:+2300万円。
R1:6300万円。
R2:7億3400万円。
R3:5億2000万円。

【国際線再開へ動き活発に】
県が国際線の全路線の再開を急ぐのは、インバウンドへの期待です。
外国人観光客が増えると、コロナで疲弊した地域経済の回復にもつながるからです。
日本政策投資銀行の岡山事務所は、県内のインバウンド観光について行った調査結果をことし3月発表しました。
それによりますと、コロナの影響が少なかった令和元年には、県内で観光客1人が宿泊や物品の購入でつかった金額は、国内の人が2万5000円だったのに対して、海外からの人は3万4000円だったという結果をまとめました。
観光客全体をみると、国内の人が圧倒的に多くを占めていますが、海外の人がつかった金額は無視できる数字ではないということです。
そうしたなか6月12日には、県内の企業や経済団体でつくる「空路利用を促進する会」が会議を開き、岡山空港の国際線の早期再開や、東南アジアのタイとの新規直行便の開拓を進めることを確認しました。
一方空港を利用して海外に出かけようという動きも始まっています。
6月6日には、岡山県の主催で台湾・韓国・タイの観光事務所の担当者などが「今後の旅行商品の販売に役立てて」と、県内の旅行代理店などを対象に現地の最新情報を伝えるセミナーが開かれました。
そして6月13日の県議会で伊原木知事は、岡山の観光地や農産物などをPRするため、ことし8月に台湾に行き、トップセールスを行うと明らかにしています。

【外国人宿泊者は回復傾向】
岡山県が50人以上が宿泊できるホテルや旅館などを対象に行っている、外国人の宿泊者数の調査の結果です。
昨年度は、対象134のうち129か所が回答。
5万2699人でした。
令和3年度は、対象135のうち130か所が回答。
9753人でした。
令和2年度は、対象148のうち134か所が回答。
1万5240人でした。
令和元年度は、対象152のうち138か所が回答。
31万3673人でした。
そして平成30年度は、対象157のうち、148か所が回答。
35万6924人でした。