津久見市の住民投票 埋め立て地建設案が廃校改修案を上回る

新しい市役所の整備をめぐる大分県津久見市の住民投票は、21日投票と開票が行われ、海沿いの埋め立て地に建設する案への賛成が、廃校の中学校を改修して移転する案を上回りました。
投票率は63.13%と住民投票の成立要件を満たし、新庁舎の整備は埋め立て地に建設する案をもとに進められる見通しです。

今月14日に告示された津久見市の住民投票では、老朽化した市役所に代わる新しい庁舎をめぐり、すでに事業が進められている、津久見港近くの埋め立て地に建設する案と、廃校になった中学校を改修して移転する案のどちらに賛成するかが問われました。

投票は21日午前7時から市内15か所の投票所で行われ、午後6時までにすべて締め切られました。

開票の結果、埋め立て地に建設する案への賛成が5770票、廃校に移転する案への賛成が2669票で、埋め立て地の案が3000票余り上回りました。

また投票率は63.13%で、条例で定められた成立要件の50%を超えました。

今回の住民投票の結果に法的な拘束力はありませんが、条例では市議会と市長は結果を尊重するとされていて、今後、新庁舎の整備は埋め立て地に建設する案をもとに進められる見通しです。

ただ、この案に沿って去年6月に行われた入札は参加する業者がなく不調に終わっていて、改めて入札が行われたとしても参加する業者が現れるか不透明な状況です。

【津久見市の石川正史市長】

住民投票の結果を受けて、大分県津久見市の石川正史市長は21日夜、記者会見し「埋め立て地の案で進めたいという市民の思いを確認できた。今後、速やかに必要な手続きを進めて来年度中の完成に間に合わせたい」と述べ、住民投票の結果に沿って埋め立て地で新庁舎の整備を進める考えを示しました。

そのうえで、自身が去年12月の市長選挙で掲げた、廃校に移転する案への賛成が少数となったことについて「この案を推してくれる人たちがいたので住民投票を行ったが、その思いに応えられず申し訳ない。改修にかかる費用が市長選で説明したときより増えたことや、まちづくりの将来像で具体的なイメージがつかみづらかったことなどが、支持が広がらなかった要因だと思う」と話していました。

【津久見市議会の黒木章三議長】

住民投票の結果を受けて、津久見市議会の黒木章三議長は21日夜、記者会見し「私たち議会としては以前から埋め立て地が新庁舎に適した場所だと考え、市民にも説明してきたので、それを受け止めてもらった結果だと考えている」と話していました。

また、今後については「石川市長には速やかに整備を進めてもらいたいと思う一方で、埋め立て地の案についても入札で業者が参加しない懸念などさまざまな課題があり、お互いに議論しながら進めていく必要性を感じている」と話していました。