福島第一原発の風評被害 県椎茸農協と東電が4億円で和解成立

東京電力福島第一原発の事故による風評被害で大分県産の乾しいたけの価格が大きく下落したとして生産者で作る組合が東京電力に求めている賠償について、国の紛争解決センターは、東京電力がおよそ4億円を支払う和解案を示し、和解が成立していたことが明らかになりました。

これは大分県椎茸農業協同組合が、4日記者会見をして明らかにしました。

組合では原発事故のあと、学校給食で出されたしいたけから放射性物質が検出されたことなどをきっかけに、生産量日本一を誇る大分県産の乾しいたけも風評被害で入札価格が極端に下がったとしています。

そして5年前、組合員などおよそ1000人が東京電力に26億余りの賠償を求めADR=「原子力損害賠償紛争解決センター」に和解の仲介を申し立てていました。

組合によりますと、これまで6回の協議を重ねてきた結果、ADRから風評被害が原因とする損害として東京電力がおよそ4億円を支払う和解案が示され、双方がこれを受け入れことし1月に和解が成立したということです。

和解金はすでに全額支払われているということです。

会見で申し立てを行った当時の組合長、阿部良秀さんは「風評被害で消費が落ち込み、生産者の生活が困窮する事態となっていた。主張していた額より和解額は少ないが、認めてもらえてよかったというのが率直な気持ちだ」と話していました。

一方、東京電力は「原発事故で今なお多大なるご心配、ご負担をおかけしていることを深くお詫び申し上げます。申立人1人1人の事情を丁寧に伺い、紛争の早期解決を目指して真摯に対応してまいります」とするコメントを発表しました。