日田市のトンネル工事で大量の地下水流出 生活用水に影響

県が発注した日田市のトンネルの工事現場で大量の地下水が流れ出し、およそ2キロ離れた集落で生活用水として使う井戸水がくめなくなるなどの影響が出ていることが分かりました。
県は工事との因果関係を認め、給水タンクを設置するなどの措置を取りましたが、水位の低下は現在も続いていて住民が対策を求めています。

県の日田土木事務所によりますと、去年4月、日田市花月で建設が進められていた「中津日田道路」のトンネルの工事現場で、掘削作業中に大量の地下水が流れ出しました。

水の量は1分間あたりおよそ8トンに上り、その翌月、およそ2キロ離れた伏木町という集落で井戸の水の出が悪くなったと県に連絡がありました。

集落には73世帯、およそ160人が暮らしていて生活用水は井戸水に頼っていますが、県が調査したところ、井戸の水位が下がっていることが分かりました。

県は時期が重なっていることからトンネル工事と水位の低下との因果関係を認め、住民に謝罪したということです。

県の調査では、42ある井戸のうち35の井戸で水位が低下したり、水が濁ったりするなどの影響が出たということです。

これを受けて給水タンクを設置したり、井戸の中のポンプの位置を水のある深さまで下げたりするなどの対応を取りましたが、現在も5か所の井戸が使えない状態だということです。

伏木町自治会の由迫睦男会長は「工事現場の水はまだ漏れ続けているので将来も井戸の水が出るのか心配だ。何十年先も心配なく水が使えるようにしてほしい」と話しています。

【住民 農業用水への影響も心配】
伏木町自治会の会長で兼業農家の由迫睦男さんは近所の4世帯と共同で井戸を利用していますが、県の調査で水位が下がっていることが分かったということです。

その後、県が井戸の中のポンプの位置を水のある深さまで下げる対応を取ったため、日常生活への影響は出ていないということですが、由迫さんは「工事現場の水はまだ漏れ続けているので数年後、数十年後も井戸水が出るのか心配している」と話しています。

ただ、心配なのは生活用水だけではありません。

由迫さんがほかの11世帯と共同で利用している農業用水の井戸も水位が下がっています。

これについて由迫さんは「5月から6月にかけて田植えのシーズンになるが、水田に水を張ることができるか不安だ。県には将来にわたって安心して水が使えるよう対応してほしい」と話しています。