女性弁護士自殺 高裁が事務所代表の元弁護士に賠償命じる判決

6年前、大分県中津市の法律事務所に所属していた弁護士の女性が自殺したのは、事務所の代表だった元弁護士から性被害を受けたためだとして遺族が賠償を求めた裁判で、2審の福岡高等裁判所は「優位な立場や拒絶が困難な状況にあることに乗じた行為によって自殺に至った」などと、性被害が自殺につながったと認め、元弁護士に対し1審に続いて1億2800万円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。

6年前、中津市の法律事務所に所属していた30代の弁護士の女性が自殺したのは、事務所の代表だった清源善二郎元弁護士から継続的に性被害を受け追い詰められたためだとして、遺族である両親は清源元弁護士と事務所に対して、慰謝料などの賠償を求めています。

1審の大分地方裁判所は去年4月、自殺は清源元弁護士から性的被害を受けたことなどが原因だったとして元弁護士と事務所にあわせて1億2800万円余りの支払いを命じ、元弁護士側が控訴していました。

25日の2審の判決で福岡高等裁判所の高瀬順久裁判長は、「職務上の優位性や要求を断ることが困難な状況に乗じて女性の意に反し、性的行為に及んだことで自殺に至った」と、性的被害が自殺につながったと認定しました。

さらに「性的被害を受けた人の心情を正しく解釈していないことが明らかだ」とも指摘し、1審に続いて1億2800万円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。

判決を受けて、両親は「2審での清源元弁護士らの主張は自分の責任から逃れようとする内容でした。いつか、娘の人生を奪ったことを悔いて深く反省してほしい。そして、娘に謝罪をしてほしいです」とコメントしています。

【清源元弁護士のコメント】
一方、清源元弁護士は代理人を通じて「主張が通らなかったのは残念ですが、1審に続いて2審も同じ結論であったので、判決を厳粛に受け止め、上告はしない方針です」とコメントしています。