大分 杵築高校 難関大進学に奨学金給付

県立高校の通学区域を廃止した「全県一区」の制度をめぐって大分市に人材が集中し、ほかの自治体では地元の中学生の流出が深刻な課題となっています。
こうしたなか杵築高校は、今年度から特定の国公立の大学に合格した生徒に対して大学の授業料や入学費用を給付することになりました。

大分県は、平成20年度から県立高校に「全県一区制度」を導入し、受験生は住んでいる市町村にとらわれず、県内すべての高校を受験できます。

そのため、進学先の選択肢が増えた一方、大分市内の高校への進学希望者が局所的に集中し、昨年度、志願者数が募集人数に達した大分市以外の県立高校は定時制を含め、28校中8校にとどまりました。

このため、杵築高校は今年度から東京大学や九州大学など特定の国公立大学に合格した生徒に対して、初年度の授業料と入学費用、最大およそ80万円を給付することになりました。

大学受験に向けた通信講座などの費用の一部も最大12万円を給付することにしていて、必要な費用は、同窓会などによって設立された奨学会が負担します。

杵築高校の阿部悌治校長は「経済的な負担を軽減しつつ生徒のモチベーションを保ちたい。地元にこだわらず、目指している大学がある生徒は杵築高校を受験してほしい」と話しています。

「杵高十王会奨学会」の諸冨正徳理事長は「全県一区制度の導入以降、優秀な生徒が大分市内に流れていくのを見て、さみしい思いをしてきた。優秀な人を排出した学校に再びなってほしい」と話しています。