室町時代の作とみられる木像 大分市の寺に戻る ネットで発見

室町時代に創建された大分市内の寺の住職が、474年前に安置され、外に持ち出された守護神の像の1つが寺に戻ってきたと、明らかにしました。
発見されたきっかけはネットオークションへの出品でした。

室町時代に創建された大分市の「神護寺」によりますと、寺に戻ってきたのは、高さ81センチ、重さ5キロほどの木製の像「迷企羅大将」です。

ことし2月、山梨県の美術館に勤めているという男性から「ネットオークションに出品されている像は神護寺のものではないか」との連絡を受け、住職がオークションの管理者に確認したところ、広島県の古物商に70万円で落札されていたことがわかりました。

このため、この古物商に像を寺に戻したいと依頼したところ、快く承諾してもらい、落札価格より安い50万円で譲り渡してくれたということです。

受け取った「迷企羅大将」の台座の裏には、「豊後」や「神護寺」「天文十八年」などの文字が書かれていました。

住職は、この像が寺からなくなったことなどの記録は見つかっていないとしていますが、寺には「迷企羅大将」とゆかりの深い像が祭られていることなどから、この像が天文18年、西暦1549年に寺に安置され、何らかの理由で外に持ち出された可能性があるとみています。

室町時代の1549年は、日本にキリスト教をもたらしたフランシスコ・ザビエルが宣教師として鹿児島に渡来し、布教活動を始めた年にあたります。

木像は漆が一部剥がれているものの、欠けている部分はなく、保存状態が良かったのではないかとしています。

宝珠典隆住職は「はじめは半信半疑でしたが、神護寺のものと知ったときはここで祭りたいと思いました。迷企羅大将は病気を治すとされているので、ぜひ皆さんに見に来てもらいたい」と話していました。

この「迷企羅大将」の像は、今月4日から神護寺の本堂で祭られています。