”津波で浸水” 保育施設の33%が県想定より低いと認識

東日本大震災の発生から11日で12年ですが、津波で浸水するおそれがある大分県内の保育施設で、県の浸水想定の深さより低く認識しているところが相次いでいる実態がNHKのアンケートで明らかになりました。

NHKでは、大分県が公表している津波の浸水想定区域内にある保育園や幼稚園などにアンケートを行い、85%にあたる82の施設から回答を得ました。

「施設は津波で何メートル浸水する想定か」尋ねたところ、33%にあたる27の施設が県が公表している浸水想定より低く回答しました。

27の施設のうち21が大分市内にあり、中には県の浸水想定が最大5メートルなのに対して2メートルと認識していて、2階に避難すると回答したケースもありました。

市の津波のハザードマップでは▽南海トラフ巨大地震の浸水想定が深さごとに色分けされている一方、▽大分市中心部などでより高い津波が想定される別府湾を震源とする地震は、最終的な到達ラインのみが示されています。

NHKの取材に対し、複数の施設が「ハザードマップの色分けをもとに浸水の深さを確認した」として、別府湾地震の浸水想定は認識していませんでした。

子どもの防災に詳しい危機管理アドバイザーの国崎信江さんは「結果的に命を守れないことになりかねない。ハザードマップの読み取り方を行政にレクチャーしてもらい、解消することが重要だ」と話しています。

【大分市は】
津波のハザードマップについて大分市は「南海トラフ巨大地震への対応を喫緊の課題としてハザードマップなどを通じて住民への周知を進めている。別府湾を震源とする地震は、100年以内の発生確率がほぼ0%とされているが、最大の津波の浸水想定としてアウトラインを表示している。今後行われる予定の津波災害警戒区域の指定にあわせてどうような表示が適切か検討を進めている」としています。