新潟大など調査 宮城沖深海に巨大崖 東日本大震災震源域

有人潜水艇を使って、東日本大震災を引き起こした東北沖の巨大地震の震源域で海底の調査を行った、東京海洋大学や新潟大学などのグループが、宮城県沖の水深7500メートルで、地震によってできたとみられる高さおよそ26メートルの崖を発見したと発表しました。
2011年の巨大地震の断層が海底にあらわれた様子を映像でとらえたのは初めてだということです。

この調査は、東京海洋大学や新潟大学、それに海外の大学などで作るグループがアメリカの民間企業の有人潜水艇、「リミティングファクター号」を使って行いました。
調査では、新潟大学で地質学を研究する植田勇人准教授が、去年9月にこの潜水艇で宮城県沖およそ200キロ地点の日本海溝に潜り、水深およそ7500メートルの海底付近を700メートルほどの範囲で調べました。
その結果、2011年の巨大地震の震源域で、海底に7階から8階建てのビルに相当する高さ26メートルのほぼ垂直の崖ができているのを見つけたということです。
周辺には角張った形の泥の塊が散乱していて、海底にたまった泥が急激に崩れた際にできたものと考えられるということです。
グループによりますと、東日本大震災の前に別のグループが同じ場所で行った音波探査ではこうした地形は確認されていなかったということで、地震によって海底の深い場所で断層がずれておよそ60メートル隆起し、その最も上の部分が崖としてあらわれたものとみられるということです。
2011年の巨大地震の断層が海底にあらわれた様子を映像でとらえたのは初めてだということです。
植田准教授は「東日本大震災の際に、海底でとんでもないことが起きていたらしいということが確認できた。地震による海底の変化を詳細に把握することは、津波などのシミュレーションの精度をさらに高めていくことにつながるはずだ」と話していました。