新潟 自転車ヘルメット着用率2.4% 全国で最下位

ことし4月に着用が努力義務化された自転車用のヘルメットについて、警察庁が都道府県ごとに「着用率」を調べたところ、最も高い県では60%近くに達していた一方、新潟県は2%あまりと最も低くなり、地域ごとの差が大きくなっています。

自転車に乗る人のヘルメット着用は、道路交通法の改正で、ことし4月から努力義務になっていて、警察庁は7月時点の全国の地域ごとの「着用率」を調査し、14日、結果を公表しました。
調査では、自転車に乗っていた全国の5万2135人のうち、ヘルメットをつけていたのは7062人で、全国平均の着用率は13.5%でした。
都道府県別で着用率がもっとも高かったのは愛媛県で59.9%、次いで、大分県が46.3%、群馬県が43.8%などとなっています。
一方、着用率がもっとも低かったのは新潟県で2.4%、青森県が2.5%、秋田県が3.5%などとなっていて、地域ごとの差が非常に大きくなっています。
警察庁が自転車用ヘルメットの都道府県ごとの着用率を比較できる形で公表したのは初めてで、着用率が高かった地域では、法律の施行前からの広報啓発が結果に表れたのではないかとしています。
警察庁によりますと、全国でことし7月末までに起きた自転車乗車中の事故で死亡した人は167人で、このうち9割にあたる150人がヘルメット非着用でした。
警察庁は、今月21日から始まる秋の全国交通安全運動でも、自転車用ヘルメットの着用推進を重点項目に掲げ、呼びかけを強化していく方針です

【街の人は】
自転車用のヘルメットの着用率が全国で最下位だったことについて、新潟駅前で街の人に聞きました。
新潟市に住む50代の男性は「理由はわからないです。自分が聞きたいくらい。新潟の人は冬場乗らないからじゃないですか」と話していました。
新発田市に住む20代の社会人の女性は「社会人になってからほとんど自転車には乗らなくなりました」と話していました。
聖籠町に住む19歳の学生は「髪型が崩れるのが嫌だとか今まで危険な目にあったことがないとかお金わざわざかけたくないとかそういうのがあるのかなと思います」と話していました。

【警察は】
新潟県の自転車のヘルメットの着用率が全国で最も低かったことについて新潟県警察本部交通企画課吉田良一交通調査官は「これまでも着用を呼びかけるチラシの配布や街頭での指導などを行ってきましたが、低調な数字だったと受け止めていて、非常に残念です」と話していました。
そのうえで、「ヘルメットは頭部を守ることができます。車に乗るときのシートベルト、バイクに乗るときのヘルメットのように、自転車も車両なのでヘルメットを必ずかぶってほしいと思います。今後も街頭指導やSNSを活用しての呼びかけなど、県民の皆様へ着用をお願いしていきたい」と話していました。

【自転車店は】
新潟県内に8店舗ある自転車店では、ヘルメット着用の努力義務化を受けて県内の先月までの6か月間の販売数は前の年の同じ時期に比べて、およそ30倍に増えているということで、つば付きの帽子型のものが特に人気だということです。
ヘルメットの売り上げはこれまで県内で月に数個ほどでしたが、ことし4月に努力義務化される前の3月中旬ごろから、在庫が少なく、メーカーの生産が追い付かない状況が続いていたということで、商品が入荷するまで予約待ちをしたり購入を見送ったりする客もいたということです。
店によりますと、品薄状態は少しずつ解消され、先月末にはようやく商品が店頭にそろってきたということで、これまで購入できていなかった人もこれを機に購入してもらえたらと話していました。
新潟県で自転車ヘルメットの着用率が最も低かったことについて「イオンバイク商品本部」の千葉亮さんは「ヘルメットの販売に携わっているのでの残念です」としたうえで、考えられる理由については「新潟県は車で移動する機会が多く、冬は雪の影響で自転車に乗れないので、自転車に乗れる時間や時期が限られていることから意識がまだ高くないのではないか」と話していました。

【キャンペーン行う自治体も】
新潟県五泉市では自転車のヘルメット着用を促そうと、市内の10の対象店舗でヘルメットを購入すると市の直売所や温泉施設などで1000円分の割引が受けられるキャンペーンを行っています。
キャンペーンは五泉市が関係団体と連携してことし4月から市内に住んでいる人を対象に行っていて、割り引きを受けられる証明書を200人分用意しましたが、配れたのはこれまでに半数ほどにとどまるということで、市の担当者は「想定より少し少ないと感じている」と話していました。
新潟県で自転車ヘルメットの着用率が最も低かったことについて五泉市環境保全課の二宮大輔さんは「市内でもヘルメットを着用している人を多く見かけるので、結果に驚いています」と話していました。
そして「ヘルメットをかぶることが当たり前のことだと思ってもらえるように職員が率先してかぶりたいと思います。このキャンペーンを1つのきっかけとして購入と着用をお願いしたいです」と話していました。

【専門家は】
新潟県が自転車のヘルメットの着用率が最も低かったことについて、自転車に関わる政策の調査・提言などをしているNPO法人、「自転車活用推進研究会」の理事長の、小林成基さんは「とても残念です」と話していました。
新潟市の自転車利用環境推進委員会の委員も務める小林さんは県内でヘルメットの着用率が低い現状について、自転車で、車道ではなく歩道を走っている人が多かったり、自転車専用レーンがあるなど走りやすい環境に安心したりしてヘルメットの必要性をあまり感じていないことなどが要因として考えられるということです。
その上で、着用率を上げていくためにはヘルメットをかぶらないといけないという雰囲気づくりが大事だとして、「県や市の職員、警察官や消防士など公務員が意識的にかぶるという地道な運動がヘルメットの着用率につながると思う。まちぐるみで安全な環境をつくると同時に自分たちを守るようにヘルメットをかぶるようにしてほしい」と話していました。