睡眠導入剤飲ませ性的暴行した罪などに問われた男に実刑判決

マッチングアプリを通じて知り合った複数の女性に睡眠導入剤を飲ませて性的暴行をした罪などに問われている60歳の被告の裁判で、新潟地方裁判所は「身勝手な動機に酌量の余地はなく、強い非難を免れない」として懲役18年の実刑判決を言い渡しました。

新潟市江南区の無職石井崇被告(60)は令和2年からおととしにかけて、マッチングアプリを通じて知り合った当時10代から20代の女性5人に睡眠導入剤の入った飲み物を飲ませ、新潟市内のホテルに連れ込むなどして性的暴行をしたほか、これらの女性を含む10人を盗撮した罪などに問われています。
これまでの裁判で検察側は懲役22年を求刑し、弁護側は今後、更生が期待できるなどと主張していました。
23日開かれた裁判で新潟地方裁判所の小林謙介裁判長は「事前に睡眠導入剤や撮影機器を用意するなど周到に準備された計画的犯行である上、ことば巧みに睡眠導入剤入りの飲み物を飲ませた。犯行は危険で被害者の尊厳を無視した卑劣なものだ」などと指摘しました。
そのうえで小林裁判長は「身勝手な動機に酌量の余地はなく、強い非難を免れない」として被告に対し懲役18年の実刑判決を言い渡しました。

睡眠導入剤などを混ぜられた飲み物を飲んだあと性的暴行を受ける「レイプドラッグ」と呼ばれる薬物を使った被害は後を絶ちません。
県警察本部によりますとことし1月から先月までの5か月間に女性が何らかの方法で睡眠導入剤を飲まされ、抵抗できない状態にされたあとに性的な暴行を受けた事件が3件検挙されています。
一方、被害を受けた女性が記憶を失い当時の様子を思い出せないなど、事件として表面化しないケースもあるということです。
警察は対策として席を離れる前に自分の飲み物を飲み干すほか飲み物の色に変化がないかを確認するよう呼びかけています。
また飲食店などではなく事前に準備した飲み物に睡眠薬などを入れているケースもあるということです。
被害に遭ったかもしれないと思った場合は衣類を保管したり、SNSなどでの相手とのやりとりを保存したりしたうえで警察に相談してほしいとしています。