奈良 女児誘拐殺害事件きっかけに見守り20年 女性に感謝状

平成16年に奈良市で、小学1年生の女の子が下校中に誘拐され殺害された事件をきっかけに、小学生の見守り活動を20年続けてきた奈良市の女性に、警察から感謝状が贈られました。

感謝状を贈られたのは、奈良市富雄元町の上城戸栄子さん(73)です。
上城戸さんは、平成16年に地元で起きた小学1年生の女の子が下校中に誘拐され殺害された事件をきっかけに、20年にわたって小学生の見守り活動をボランティアで続けてきました。
20日は奈良西警察署で岡田俊則 署長が上城戸さんに感謝状を手渡し、長年の活動をたたえました。
岡田署長は「警察だけでは手が足りないところもあり、今後も連携して子どもの安全を守っていきたい」と話していました。

【上城戸さんの思いは】
上城戸さんは事件発生時、女の子と同じ校区に住んでいて、捜索などにも参加し、当時を振り返って「あんな事件はこれまでなかったので大変ショックだった」と話しています。
そして、二度と同じような事件を起こしてはいけないと、地元の有志とともに50人で、子どもたちの登下校を見守る活動をはじめました。
それ以来、毎朝ほぼ休みなく7時半から8時すぎまで、駅近くの横断歩道に立ってきたということです。
上城戸さんが見守りの際に心がけているのが、積極的に子どもたちにあいさつをすることです。
そうすることで、子どもたちが大人に話しかけやすくなり、いざというとき助けを求めやすくなると考えているからです。
1人で登校する児童に付き添って、学校まで送り届けたこともあったということです。
また、多くの大人が見守る息の長い活動が出来るよう、友人や知人を積極的に活動に誘い、これまで上城戸さんの呼びかけで参加した人はあわせて20人ほどにのぼるといいます。
上城戸さんは「習慣として続けてきたことで、感謝状をいただいて大変光栄です。今後もこうした活動が地域で続いていってほしい」と話していました。
上城戸さんは今月(5月)上旬で、毎日、通学路に立つのをやめるということですが、今後も時間が許す限りは、参加したいとしています。
上城戸さんは「子どもを見守る輪が、今後も広がってほしい」と話しています。