獣医師からシカ保護団体に行政指導の要望 保健所“権限ない”

奈良公園のシカを保護している団体が、けがをしたシカに十分な治療や適切な検査を行っていないとして、獣医師が団体を指導するよう奈良市保健所に求めていたことについて、保健所は医療材料や検査の内容について、動物の愛護や管理に関する法律において何の定めもなく行政指導を行う権限はないと結論づけました。

今月11日、奈良公園のシカを保護している「奈良の鹿愛護会」の獣医師は▼足を骨折したシカを治療するための新たな装具の導入が中断していることや▼衰弱したシカに一部の検査が認められなくなったことを理由に動物愛護管理法に違反しているとして、奈良市保健所に愛護会を指導するよう求めていました。
保健所は獣医師と愛護会の双方から聞き取りを行ったうえで、25日会見を開き、医療材料や検査の内容について動物の愛護や管理に関する法律において何の定めもなく行政指導を行う権限がないと結論づけました。
そのうえで、衰弱原因につながるような公衆衛生リスクなど関連するところがあれば今後も行政指導は行っていくとしました。
奈良市保健所の鈴村滋生 所長は「獣医師と愛護会の主張にあまりにもそごがある。奈良のシカを守るという方向性は同じだと思うので、獣医師と愛護会の職員の間で良好なコミュニケーションをとってほしい」と話していました。