平城宮跡を舞台にした天平祭 費用対効果の観点で事実上廃止

奈良市の平城宮跡で開いていた「平城京天平祭」について、今年度、奈良県と奈良市は運営費を負担しないことを決め、イベントは事実上廃止されることになりました。

平城京天平祭は平城遷都1300年祭の翌年の2011年から始まり、平城宮跡を舞台に時代行列のほか、県内の自治体の特産品を紹介するブースなどが設けられ、人気を集めていました。
毎年3回行われ、運営費は奈良市が春を、奈良県が夏と秋を主に担当し、昨年度、県と奈良市はあわせて1億7000万円余り負担しています。
県によりますと、費用対効果の観点から今年度から運営費を負担しないことにし、奈良市も同様の形をとったため、天平祭は事実上廃止が決まりました。
また、冬に行われていた「奈良ちとせ祝ぐ寿ぐ(ほぐほぐ)まつり」も一定の役目を終えたとして、県は今年度の負担を取りやめました。
一方で、県は今年度、新たに設置する観光戦略本部の中に平城宮跡の活用に向けた部会を設けて、今後の事業のあり方について議論することにしています。

【後継団体が時代行列継続へ】
天平祭が事実上廃止になったことを受けて、春に奈良時代の行列を復元してきた実行委員会は、後継の団体を作って、今後も時代行列のみ続けていくとしました。
春の天平祭の実行委員会からイベントの運営を引き継いだ平城京天平行列の会が16日、奈良市役所で会見を開き、来月(5月)3日、平城宮跡で35人の時代行列を行うとしました。
また、秋に東大寺の周辺で時代行列を行うほか、今年度中に2回、実施するとしています。
時代行列を行うための運営費については、奈良市から最大で1000万円の補助が受けられるとしています。
平城京天平行列の会の朝廣佳子 会長は「天平祭の廃止は残念だが、天平行列は奈良の観光、文化のコンテンツとして、今後も継続していきたい」と話していました。