「飛鳥・藤原」の文化財 世界遺産に向け推薦書素案を提出

世界文化遺産への登録を目指す「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」について、県と関係自治体の協議会は15日、推薦書の素案を文化庁に提出しました。

明日香村を中心に広がる飛鳥時代の都の跡などの文化財「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」について、奈良県と明日香村、橿原市、桜井市でつくる協議会は、2年後(2026年)の世界文化遺産への登録を目指し、準備を進めています。
15日、山下知事と市と村のトップが奈良県庁で記者会見を開き、文化庁に推薦書の素案を提出したと発表しました。
素案には、明日香村の飛鳥宮跡や橿原市の藤原宮跡、極彩色の壁画が見つかった高松塚古墳など、22の文化財が構成要素として盛り込まれていて、世界の宝として守る必要があるとしています。
素案の提出は、今回で4回目になります。
協議会の会長を務める山下知事は「県と市と村が一致団結し、世界遺産登録に向けてまい進したい。登録によって地域住民が誇りと愛着を持って、確実に継承することにつなげたい」と述べました。
また、明日香村の森川裕一 村長は「多くの人たちが訪れ、ゆっくり過ごしてもらう場になるため、世界遺産登録を成し遂げることが必要だ」と話していました。
今後、文化庁の文化審議会で国内の推薦候補として選ばれれば、ユネスコの諮問機関による事前審査などを経て、早ければ2年後の世界遺産委員会で登録の可否が決まるということです。

「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」は、平成19年(2007)に世界遺産への登録に向けて推薦する候補を一覧にしたユネスコの「暫定リスト」に記載されました。
内容は、6世紀末から8世紀初めにかけての飛鳥時代の天皇の住まいの「宮殿」とその一帯に広がる都のほか、寺院の跡や古墳など22の文化財で構成されています。
中には▼天武天皇など4代にわたる天皇の宮殿があった明日香村の「飛鳥宮」や▼日本で初めての本格的な都とされる橿原市の「藤原宮」の跡、それに▼日本で最古の本格的な寺院の「飛鳥寺」や▼極彩色の壁画が見つかった「高松塚古墳」、「キトラ古墳」などがあります。
奈良県と明日香村、橿原市、桜井市でつくる協議会は、「日本」という国家が東アジアとの交流を通じて成立したことがわかるほかに例のない文化遺産で、「世界の宝」としての評価に値するとしています。

【今後のスケジュール】
世界遺産の「暫定リスト」には、現在、国内では「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」のほかに▼滋賀県の「彦根城」と▼岩手県の「平泉」▼神奈川県の「鎌倉」のあわせて4つが記載されています。
まず、この中から、例年、夏に開催される文化庁の文化審議会で、国内の推薦候補として選ばれる必要があります。
各国の推薦候補は、翌年の2月1日までに正式な推薦書をユネスコに提出することになっていて、書類に不備がなければ、ユネスコの諮問機関による事前審査が行われます。
そして、諮問機関による現地調査や世界遺産への登録がふさわしいか勧告が行われ、2年後の6月または7月ごろに開催される世界遺産委員会で審議が行われ、登録の可否が決まることになります。