教育現場の負担軽減へ 天理市が保護者対応窓口設置

教育現場の負担を軽減しようと、天理市は小学校や中学校に対する保護者からの要望などについて専門の窓口を設置し、3日、開所式が行われました。

天理市は、これまで小学校や中学校、それに保育園などで受けていた保護者からの要望や苦情を、「ほっとステーション」という専用の窓口を設けて1日から受け付けています。
3日、開所式が行われ、並河市長が「先生には120%子どもたちと向き合うことに集中していただき、子どもたちの学びの質を高めてもらいたい」と話しました。
「ほっとステーション」では、平日の午前9時から午後5時まで小学校や中学校の元校長や臨床心理士などが常駐し、電話やメールのほか、面談などで対応しています。
天理市教育委員会によりますと、教育現場では教職員の人数が少なくなるなか、保護者からの要望や苦情が相次ぎ、業務に影響が出ているということです。
ステーションの代表で、天理市教育委員会の山口忠幸 教育次長は「先生の苦労を和らげたいという思いで専用窓口を設置した。先生たちが子どもたちのために使う時間が増えればと思う」と話していました。

【保護者対応窓口設置の理由は】
天理市は、保護者対応の専用窓口を設置した理由について、授業や保育に専念できる教職員の職場環境を整えるとともに負担の軽減を目的にしていると説明しています。
天理市教育委員会は、去年、市内の公立の小学校と中学校の教職員、120人にアンケート調査を行いました。
その結果、▼「日常業務で保護者対応への負担を感じているか」という質問に対して、「感じている」と答えた教職員は77.5%にのぼりました。
また、▼「保護者対応で授業に支障が出たことがあるか」という質問に対し、「ある」と答えた教職員は63.3%でした。
さらに、▼「過去に保護者からの理不尽なクレームの心労により1日以上、休んだことがあるか。または、同等以上に業務に支障が出たことはあるか」という質問に対し、74.2%の教員が「ある」と回答しています。
このほか、理不尽なクレームの例として、▼自宅の壁を蹴って穴をあけた子どもの保護者から「学校によるストレスがあるからだ」と保護者に呼び出されたことや、▼「3月の寒い時期に雑巾がけをさせる意味がわからない」と1時間半にわたり抗議があったとしています。
文部科学省でも、学校現場で保護者や地域からの過剰な苦情や要求が課題になっているとして、教育委員会に相談窓口を設ける新たな事業の準備を進めているということです。