物流の2024年問題 企業の約7割「マイナスの影響」

4月1日から運送業と建設業、それに医師の3つの業種で、時間外労働の上限規制が始まります。
特に物流業界では、人手不足などが深刻になると懸念されていて、民間の信用調査会社が県内の企業に調査を行ったところ、7割近くが「マイナスの影響がある」と回答していることがわかりました。

1日から運送業と建設業、それに医師の3つの業種で、時間外労働の上限規制が始まり、物流業界では人手不足の深刻化や、輸送量の減少が懸念されています。
物流の「2024年問題」について、帝国データバンク奈良支店は、去年12月からことし1月にかけて、県内企業231社を対象に調査を行い、80社から回答を得ました。
それによりますと▼「マイナスの影響がある」と答えた企業は68.8%で▼「影響はない」が17.5%▼「プラスの影響がある」は0%でした。
具体的な影響について尋ねたところ、複数回答で▼物流コストの増加が75%と最も多く、次いで▼人件費の増加が46.3%▼人手不足の悪化が42.5%などとなっています。
一方で、70%の企業が対応策を考えていて▼スケジュールの見直しや▼運送費の値上げなどをあげています。
帝国データバンク奈良支店は「荷主や運送の事業者にかかわらず、幅広い業界でマイナス影響を見込んでいる。デジタル技術の活用や新技術の開発など、将来を見据えた効率化や業務改善が必要だ」と話しています。

【県内の企業は】
トラックドライバーは、原則として一日に13時間を超えて働けなくなり、時間外労働についても月45時間までと制限されます。
長距離を運転するドライバーの労働時間が制限されると、一日の走行距離が短くなるうえ、配送回数も減り、これまでどおり荷物を配送することが難しくなると懸念されています。
こうした「2024年問題」に対応するため、奈良市に本社がある大手運送会社の「フジトランスポート」では、5年前から全国に70店余りあった店舗数をおよそ120店に増やしました。
店舗数を増やすことで配送の中継拠点も増え、ドライバーを交代して、配送することができるようになりました。
また、ドライバーもおよそ1400人からおよそ2000人に増やして、人手不足の解消に取り組んできました。
さらに▼トラックの製造会社と独自に新たな車両を開発し、通常よりも1割ほど荷物が多く運べるようになったほか▼すべてのトラックにGPSを搭載して、労働時間や走行距離を管理するとともに、渋滞が起こった際はドライバーにルート変更を伝えてサポートする体制も整えてきました。
フジトランスポートマーケティング部の川上泰夫 部長は「法改正をきっかけに働きやすい環境を整え、継続して人材の確保に取り組んでいきたい」と話しています。