県議会 新年度予算の修正案可決 知事「再議」の条例案は否決

県議会2月定例会は最終日の25日、最大会派の「自由民主党・無所属の会」が、県の新年度予算案に対して防災関連事業などの一部を見直した修正案を提出し、採決の結果、可決されました。
一方、メガソーラーを設置するための条例の一部を改正など2つの条例改正案について、山下知事は審議をやり直す「再議」を求めた結果、否決され廃案となりました。

県は、一般会計の総額で5400億円余りの新年度当初予算案を県議会の2月定例会に提出しましたが、25日の本会議で最大会派の「自由民主党・無所属の会」が、五條市の太陽光発電施設を含めた防災拠点の整備を検討する費用などを削除し、代わりに県全体の防災体制を検討して基本構想をつくる費用などにあてる修正案を提出しました。
修正案の提出理由について「自由民主党・無所属の会」の川口延良議員が「突然発表された新たな方針は、県庁内で十分な議論がなされておらず、政策決定プロセスは不透明だ。また、具体的な防災機能について十分な議論がなされておらず、山下知事の独断で判断したと言わざるをえない」と述べました。
この後、採決が行われ、日本維新の会の議員は退席し、「自由民主党・無所属の会」や公明党などの賛成多数で修正案は可決、成立しました。
一方、メガソーラーを設置するための条件を定めた条例の一部改正など2つの条例改正案が、25日の本会議で可決されましたが、山下知事は異議があるとして審議をやり直す「再議」を求めました。
県議会事務局によりますと、再議が行われたのは戦後では初めてだということです。
再議の採決の結果、議長を含む出席議員の3分の2以上の賛成を得られず否決されました。
これで2つの条例改正案は廃案となりました。

【五條市の請願採択 補正予算も】
25日の本会議では、五條市の県有地に太陽光発電施設、メガソーラーを整備する案について、五條市から出された計画の撤回や防災拠点の事業見直しを再検討するよう求める請願は、採択されました。
このほか、▼去年(令和5年)下北山村で発生した土砂崩れにより、国道169号線が通行止めになっていることを受けて、3つの村を対象にした観光キャンペーンの経費などを盛り込んだ令和5年度の補正予算案や▼副知事や教育長の人事案なども、2月定例議会で可決や承認、同意されました。

【知事“公約達成に大きく前進”】
山下知事は議会終了後に会見を開き、新年度予算案の修正案を再議にしなかった理由について、「再議にして廃案になった場合、当初の予算案が議決の対象になるが、委員会での採決の状況を見ると否決される可能性が高いと思った。修正案の内容に不満はあるが、すべての新規事業がストップすることに伴う県民生活への著しい影響を考慮して再議にしなかった」と説明しました。
一方、条例の改正案について再議を求めた理由について「内容的にも手続き的にも問題が大きく、実質的には五條市の防災拠点の計画を妨害する条例にほかならない。法令に基づいて知事が作る計画や特定の地域にかかる計画まで県議会の議決対象にするのは大きな問題で、制定の手続きや職員の負荷増大などの理由から再議とした」と述べました。
今後の影響については、「県消防学校を旧高田東高校に移転させる計画策定はできなくなったほか、広域受援体制や橿原公苑のアリーナ整備について幅広く検討することになった。しかし、それ以外については予算が認められたので、公約の達成に大きく前進できるとむしろ前向きにとらえている」と述べました。

【自由民主党・無所属の会 川口延良県議“知事に一定程度 理解得た”】
自由民主党・無所属の会の川口延良 県議会議員は、県の新年度予算案の一部を見直した修正案が可決されたことについて「これまでわが会派としてもいろんな疑義について質疑したうえで、疑義の残る部分についての修正議案を出した。今回、可決をされたことで、知事に一定程度、理解されたんじゃないかなと思っている」と話していました。