再来年度から奈良市の小学校に言語聴覚士を常勤で配置へ

奈良県教育委員会は、再来年度(令和7年度)からことばによるコミュニケーションの訓練や指導を行う言語聴覚士の資格を持った教員を採用し、奈良市の小学校に配置することにしました。
県によりますと、学校への言語聴覚士の常勤での配置は全国的にも珍しいということです。

障害や病気などで通常の学習や生活が難しい子どもが支援を受けながら一般の学校に通うケースが全国的に増えていて、県内でもこの10年で4倍以上に増えています。
こうした子どもに対する支援の強化が課題となる中、県教育委員会は来年度(令和6年度)、ことばによるコミュニケーションに困難がある人などに対し、必要な訓練や指導を行う言語聴覚士の資格を持った教員を3人程度採用し、再来年度(令和7年度)から奈良市内の小学校に常勤で配置することにしました。
教員は専用の教室で、児童が学校での学習や生活に適応できるようことばのコミュニケーションに特化した指導や訓練を行います。
県教育委員会は一定の効果が見られれば将来的に採用人数を増やし、県内すべての市町村に配置したい考えです。
言語聴覚士を学校に常勤で配置する取り組みは全国的にも珍しいということで、県教育委員会は「児童が心身ともに健康に成長できるようひとりひとりの特性に応じて、サポートしていきたい」とコメントしています。

【言語聴覚士とは】
国家資格の「言語聴覚士」とは、▽うまく話せない、話が理解できないといった「言語障害」や、▽声が出にくい「音声障害」など、ことばによるコミュニケーションに何らかの困難がある人に対し、症状改善のための指導や訓練を行う専門職です。
一般的には、医療機関や介護施設で求められることの多い人材です。
田原本町にある奈良県総合リハビリテーションセンターには12人の言語聴覚士が在籍していて、患者の症状を検査し、症状やその程度などに応じて指導や訓練を行っています。
会話などで、ことばが出てこなかったり、つまったりする「きつ音」の症状がある子どもに対しては、カメのぬいぐるみを動かしながら、カメのようにゆっくり話すように指導したり、リラックスさせるためにかるたをしながら自然にしゃべる練習をしたりします。
県総合リハビリテーションセンターの言語聴覚士、秋田靖子さんは「発音の問題やきつ音症状がある子はたくさんいるので、学校に言語聴覚士がいたら、すぐ相談できるし、サポートもできるし、いいことだと思う。適切な指導や訓練を受け、症状が改善したら交友関係や学習態度にも変化が出ると思う」と話し、県教育委員会の取り組みに期待を寄せていました。