高松塚古墳の壁画 ことしも科学的な手法で絵の具の分析調査

明日香村の高松塚古墳の壁画について、文化庁はことしも科学的な分析手法を使って、種類が特定されていない絵の具の調査を進める方針です。

明日香村の高松塚古墳の壁画は、カビなどの影響で劣化が進み、石室を解体して外に運び出したあと、令和2年まで10年余りの修復作業が行われました。
壁画は現在、古墳近くの施設に置かれていて、文化庁はこれからの保存と学術的な研究のために、壁画に使われた絵の具の種類について調査を進めています。
調査には「X線回折」という分析手法が用いられ、これまでに「飛鳥美人」として知られる西壁の女子群像の赤い唇や緑色の衣装を描いた絵の具などを特定しました。
女子群像のうち、赤やピンクの衣を描いた絵の具の種類などは解明できておらず、これまでの手法と合わせて光の波長を利用した最先端のカメラによる分析も検討しています。
また、同じ明日香村のキトラ古墳で見つかった壁画については、去年(2023年)、泥に覆われた部分にえとの「辰(たつ)」や「巳(み)」など十二支の像の一部が描かれていることがわかり、文化庁は、ことしから裏面の強化など保存のための処置を行うことにしています。