“温暖化でトンボ減少も” 水温上昇が農薬毒性に影響と発表

地球温暖化によって田んぼの水温が上がると農薬の毒性が強まり、害虫ではないトンボまでが大幅に減るおそれがあることが自然に近い形で確認できたと、近畿大学などの研究グループが発表しました。

この研究結果は、奈良市にある近畿大学農学部の早坂大亮 准教授などの研究グループが、海外の学術誌で発表しました。
早坂准教授らは地球温暖化が進む中、田んぼでトンボが減っていることと農薬との関係性を調べるため、トンボの幼虫のヤゴやイネなどが入った田んぼの環境を模した水槽を屋外に設置し、農薬を入れたり水温を変えたりして、比較する実験を行いました。
その結果、農薬を入れて水温を自然な状態より4度ほど高くした水槽では、ほかの水槽に比べて大幅にヤゴが減ったということです。
これまで、水温の上昇により農薬の毒性が強まるという室内での研究はあったということですが、グループでは自然に近い形でも確認できたとしています。
そのうえで、ヤゴは田んぼの生態系において、捕食者として重要な役割を果たしていることから、農薬の使用を続けながら温暖化が進むと生態系のバランスが崩れるおそれがあると指摘しています。
早坂准教授は「温暖化に歯止めがかからず、農薬の使用も欠かせない中で、今後の農業のあり方を考えるきっかけになれば」と話しています。